過去連載 2015/5/21 公開

【其の6】最も多い「フランチャイズで失敗する人のケース」|波多野のひとり言

先日、名古屋に出張し、今、年間80店近くもスピード出店している『コメダ珈琲店』の本社に行きました。本社の建物自体がコメダ珈琲店ぽくて、可愛くないですか!?『甘味喫茶おかげ庵』もコメダの業態で、実はあんこ好きの私としては「こっちがもっと増えないかなぁ」が希望だったりします(笑)

先日、異業種交流会で知り合った大学の先生から、フェイスブックのメッセージで連絡がありました。

「友人夫婦がフランチャイズで独立を考えていて、●●クレープを検討しています。大丈夫でしょうか」といった相談です。その後に「勝手なお願いで恐縮ですが、注目なザー(フランチャイザー、フランチャイズ本部)はありますか?」とも書かれていました。

出張先でしたので、簡単に「注目のフランチャイズは簡単には言えません。また、同じ理由で●●クレープがいいとか悪いとかという回答も無理です。その方がどんな状況(保有物件があるのかないのか、どこで開業する予定か、なぜ●●クレープなのか、どんな事情で独立される決意をされたのか……etc)など、多くの条件が分からなければ、いいも悪いも答えようがないからです」と、回答しました。

その後、早期退職か何かでご夫婦で独立して頑張りたい方のようだということは分かったのですが、今度は「家事代行業の●●●というフランチャイズを調べているそうです。これはどうですか?」というメッセージがまた届きました。「そこは、加盟契約解除者数が多く、契約更新する人が少ないフランチャイズ本部なので、もっときちんと系統立てて、しっかり情報を取らないと危ないと思う」とお答えしました。

この大学の先生は、30年来の友人夫婦がフランチャイズを活用して独立するということで「力になってあげたい(成功してほしい)」→「フランチャイズなら波多野がいる!」と善意で相談して来られたはずで、当の本人は、もっと勉強されていると思いたいです。

でも、有店舗型のクレープ店の開業を考えていた人が、たかだか一週間で、ご自身の営業力が生命線となる訪問サービス型の家事代行業に気持ちが変わるのが、私には理解できません。ご夫婦の強みと弱みの“棚卸し”が出来ていないとしか思えませんよね。

そして、こういうプロセスを軌道修正できないまま、フランチャイズ契約をしてしまう方が本当に多いです。そして、最も多い“フランチャイズで失敗する人のケース”です。

 

『名古屋のモーニング文化で勝ち上がったコメダ』なので、本社近くでこんな珍しい看板を見つけました。「シロノワール」、いまや全国区になりつつありますね!

一方で、現役フランチャイジーの方から「今、自分が加盟しているフランチャイズ本部について、実際になさっている方のお話をお聞きしたい」と、加盟検討中の方から連絡をもらってお会いしてみたら、そのフランチャイズ本部の仕組み、強みなどをしっかり熟知されていることがとても伝わってきて感心して聞いていたら、「実はフランチャイズ本部の財務状況を第三者機関で調べてみたら、成長過程にあるので仕方ないとは思うが、ギリギリの資金繰りなので少し心配している」と、はっきりと不安点をおっしゃり、相談された自分の方が逆に勉強になったというお話をお聞きしました。

こういう方は、多分、フランチャイジーとして成功されます。

ご自身がその事業に惚れこんでいる理由も明確だったようですし、優秀な現役のフランチャイジーを探し当て、お会いする交渉力を持っている上に、会ったら逆に相手に「気付き」まで与えるほど情報収集されていますし人間力もお持ちですから。

加えて自分で歩いても分からないことはお金を払ってプロの情報を取っている点もお見事です。この方は第三者機関で本部の財務状況を調べていますね。おそらく5万円以上の経費がかかったはずですが、加盟して失敗してから失うお金と時間を考えたら、安い投資です。こういう方は、おそらく物件を決めたり、本部と契約書を交わす段階でも、プロの力を借りるはずです。自分で出来ることはとことん頑張り、プロの力を借りる場面を心得ていて必要経費を惜しまない。これもフランチャイズ加盟時の成功要因です。

 

前述のクレープ→家事代行業を検討されているご夫婦が、フランチャイズで失敗して、第二の人生を棒に振らないでほしいと気にしています。

でも、「そのご夫婦に『フランジャ』を、まずは一冊丸ごと読んでみてほしいとお伝えくださいね」という知人へのメッセージは、そのご夫婦にはまだ届いていないようです。

是非、このブログを読まれた方だけでも、後者のフランチャイジー希望者の行動を真似てほしいと切に願っています。

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波多野 陽子

筆者:波多野 陽子

日本で唯一のフランチャイズ総合メディア『FRANJA(フランジャ)』編集長。米国のフランチャイズ専門誌・日本版の編集長などを経て、日本のフランチャイズ産業界の健全な発展を、媒体側から促進しようと2000年8月22日にトーチ出版を、代表取締役社長の川上聖二らと共に設立、代表取締役専務でもある。「フランチャイズを活用して、多くのヒトが経営者として心身共に豊かな人生を送ってほしい」が願いで、本部には正直で透明な情報開示を、フランチャイジーには「儲かる」だけを主軸にした安易な加盟決断の怖さを説く日々