過去連載 2011/9/8 公開

「『以下同文』の存在しない、表彰式」

8月24日、物語コーポレーションが年に1度開催している「ホスピタリティ・パートナーズ・コンテスト」(ホスコン)の全国大会が開催され、愛知県豊橋市に入りました。外食産業界は、正社員1~2名の他はパート&アルバイトを戦力として成り立っているチェーンが多いはずです。そして、外食産業界全体を見渡せば、その正社員のマネジメントや定着率にすら頭を抱えているフランチャイズ関連企業が多い中、パート&アルバイトの“個”までしっかりと引き出されていたコンテストだったので、本欄で先取りしてお伝えします。 

“先取り”と書いたのは、この取材は12月15日発売予定の『FRANJA(フランジャ)』の「フランチャイズ本部徹底解剖シリーズ」(第4弾)に、物語コーポレーション(本社・愛知県豊橋市、小林佳雄社長)http://www.monogatari.co.jp/index.htmlに登場してもらうための取材の一貫だからです。

12月発売予定ですが、「年に1度のコンテスト」ということで“真夏に冬発売号の取材”となったわけです。

ホスコンは、物語コーポが全国に現在210店(内フランチャイズは116店)展開している3業態、つまり・・・・・・

◆焼肉業態 ←『焼肉きんぐ』『焼肉一番かるび』『焼肉一番カルビ』

◆ラーメン業態 ←『丸源ラーメン』『二代目丸源』

◆お好み焼業態←『お好み焼本舗』

で働くパート&アルバイトさんの店舗オペレーション&サービス力のコンテストの全国大会で、年に1度の「頂上決戦の場」です。

7月までに各エリアで地区大会が実施され(参加店舗数175店舗)、そこで優勝した48名が、この日、物語コーポの本社近くにある『焼肉きんぐ花田店』『丸源ラーメン豊川店』『お好み焼本舗豊川店』の各審査会場(店舗)に分かれて、実際にお客様を相手に12:00~13:30というランチタイムに接客や調理をし、それを審査員が審査して「ベストホスピタリティ賞」(ナンバーワン)を決めるというものです。

物語コーポは郊外型を主に中・大型店を得意としているので、1店平均で40~50人のパート&アルバイトさんが働いているはず。ということは、単純計算で全国に8000人~1万人ほどはいるはずのパート&アルバイトさんの中から、優秀だと認められた48人が、この全国大会に出場していることになります。

物語コーポレーションの「ホスコン全国大会」に集まったパート&アルバイトさん。地区予選を勝ち抜いた48名だけに、緊張していても笑顔がステキです

つまり、この日、豊橋に集まった「48人」が背負っているものの重さは「ハンパない」ものだったはずで、9時45分から「豊橋商工会議所」で行われた開会式で、社長の小林佳雄さんは、開口一番「みんな、緊張してるよね。でも、ここに集まったみんなはそれを見せない。つまり自分をコントロールできているってこと。それって凄いことなんだよ。君たちは相手を気遣えるプロフェッショナルだ」と、最初に尊敬の意を表していました。

全国から集まった出場者を前に、一番緊張していたのはもしかしたら小林さん!? トップからの気合と愛情あふれる開会式の「激励の言葉」でした

そして、「ホスピタリティとは、【愛情と使命感+お客様のニーズを先読みして行動できること】。それを一言で表したのが『お客様喜ばせスペシャリスト』なんだ!」と熱く語る小林さんの挨拶で開会式はスタートしました。

この開会式では、3部門から代表者1名ずつが壇上に上がって話す「誓いの言葉」タイムがありました。その一人、「お好み焼き本舗西尾店」の近藤恵介さんの言葉で、私にまで気持ちのいい緊張感が乗り移りました。

「僕が今、ここに立っていられるのは大将(店長)始め、たくさんの人の助けがあってのことです。そして、僕が地区大会で優勝したときに、悔しさで涙している仲間を見て、『僕が全国大会に行っていいのかな』って正直、迷いました・・・・・・(途中割愛)。日々、成長させてくれる店、仲間、お客様に感謝しています。それと、今日、このような機会を与えてくださった物語コーポーレーションの皆様に感謝しています!」

開会式の「誓いの言葉」で、参加者全員の一体感を高めてくれたお好み焼本舗西尾店の近藤恵介さん。これからのさらなる成長が楽しみな青年です

誓いの言葉の最後には、頭の鉢巻を取って深々と挨拶までしてくれた近藤さん。アルバイトの若い青年が、メモ一つ見ずに、自分の“気”だけで、訥々と、でも大きな声で堂々と、これだけの想いをしっかりと語るのですから、オバサンは参りました。

そして、この近藤さんの誓いの言葉に、言葉にならない感動を「こちらこそ、ありがとうございます」と、一番にこれまた大きな声で反応していたのが、社長の小林さんでした。

「凄くいい緊張関係」に、取材者の心にポッと火が点いた瞬間でした。

その後、各会場にバスで移動し、1時間ほど配置確認や店内説明(働き慣れた店ではないから)を受けて、正午から店舗審査がスタートしました。私も3会場を広報担当の方に案内していただきながら回りましたが、さすがに全国大会にまで出てきた“ツワモノども”です。相当に緊張しているのでしょうが、「ホール担当者」なら笑顔が自然で、お客様との会話が弾んでいる場面を何度も見かけました。「キッチン担当」の面々も、凄まじいテンションで沸きあがるキッチン内で“匠の技”を見せてくれました。

出場者は、全員おそろいの「HERO」Tシャツを着ているので、他の従業員との違いは一目瞭然。ここまで勝ち上がってきた責任とプロ根性で、当日の彼らの背中は光って見えました。

コンテスト参加者だけがもらえる「ヒーローTシャツ」。とってもセンスのいいデザインです!

もう一つ、こちらに突き刺さってきた光景は、審査される側の出場者以上に緊張している審査員(エリアマネジャーが中心)の表情でした。各店の入り口で「今日はお店でこういうコンテストを開催しているのでご迷惑をおかけするかもしれません。カメラやテレビの撮影も入っていますので、都合の悪い方はおっしゃってください!」と、一人ひとりのお客様に案内状を手に店員さんが説明していましたが、あんなに険しい表情の審査員が店内のアチコチに立っていたら、お客様にも緊張感が伝わっちゃうよって苦笑してしまうほどの真剣な表情に、逆に「あぁ、物語コーポの審査員は、審査される側の気持ちと重さを一緒に抱えてこの場に臨んでいるのだな」と、清々しい気持ちになりました。

コンテスト出場者以上に緊張して審査に臨んでいるように見えた審査員たち。「想いを大切に仕事に望む“物語人”」の姿が、取材者にも伝わってきました

午後1時30分の審査終了後、出場者は私服に着替えて近隣の店舗視察ツアーなどをしながら「表彰式・祝賀会」を待っていたようですが、その間の審査する側、つまり物語コーポの担当の皆さんの大変さを私が理解したのは、実は表彰式が始まってからでした。

午後4時から「ホテル日航 豊橋」でスタートした表彰式は、当然、華やいだ“ハレの場”に相応しい雰囲気。受賞者はドラの音と共にスクリーンに顔写真が大きく映し出されて壇上に向かうという晴れ晴れしさ、表彰状や花束、優勝者にはトロフィの授与もありました。

ただ、私が物語コーポらしさ、細やかさを感じたのは、「ベストホスピタリティ賞」の前に、「特別賞」として10人の出場者が選ばれたのですが、その「賞の名前」が十人十色で、表彰状の内容まで全部違うと分かった時です。その一部をご紹介すると、

◆「お客様目線スペシャリスト賞」(丸源・ホールの部)

◆「仲間にもお客様にも優しすぎるで賞」(丸源・キッチンの部)

◆「華のあるプロフェッショナル賞」(焼肉・ホールの部)

それぞれのパート&アルバイトさんの持つ個性、評価された点をしっかりと受賞者に伝えようとする表彰状の文面を、あの短時間で用意するのは本当に大変だったはずなのです。その貴重な時間に「せっかく豊橋入りしたので15分でも」と、ホスコンの主催部門である物語アカデミーシニアマネジャーの村田寿穂さんに取材をお願いしたことを、本当に申し訳ないことをしたと理解できたのは、この授賞式が始まってからだったのです。

「ホスピタリティ・パートナーズ・コンテスト」の責任者である物語アカデミーシニアマネジャーの村田寿穂さん。「個」を大切にする物語コーポの象徴のような仕事人でした/ 開会式で皆の背筋を伸ばしてくれた近藤恵介さん(お好み焼本舗西尾店)は、「お好み焼部門キッチンの部」でベストホスピタリティ賞を受賞。全力を尽くした後の素晴らしい笑顔で壇上に

特別賞の授与式で圧倒された上に、ナンバーワンと認められた「ベストホスピタリティ賞」でまで、一人ひとりの表彰状の文面が違ったのには感動という言葉しか思い浮かびません。

焼肉部門・キッチンの部で、ベストホスピタリティ賞に選ばれた「焼肉きんぐ小平店」の片岡勇次さんを前に、小林さんが読まれた表彰状の内容を音声から拾ってみました。マイクで音声が割れているので正確ではないかもしれませんが、その細やかさは伝わるのではないでしょうか。

「表彰状。ベストホスピタリティ賞焼肉部門キッチンの部 片岡 勇次殿。貴方はまわりの仲間を元気と笑顔でなごませ、気遣いとコミュニケーションでホールへの連携を築き、そしてお客様へはスピードとクオリティの最高のパフォーマンスで魅了してくれました。今日、貴方と触れ合った皆が、貴方の虜になりました。本当にありがとう。物語コーポレーション代表取締役 小林佳雄」

「以下同文の存在しない、表彰式」でした。

受賞した彼ら彼女たちは、自分だけのために作られた表彰状を、きっと、一生、大切にすると思います。

大学卒業から62歳の現在に至るまで、フードサービス業一筋に歩まれてきた小林さん。しかも、ホスコンは今年で7回目です。それでも舞台の袖に降りて、受賞者一人ひとりの言葉を真剣に聴き入り、ときには眼鏡を外して涙を拭っておられた姿を、私はカッコイイと思いました。

「丸源部門ホールの部」でベストホスピタリティ賞を受賞した千音寺店の甲斐靖大さんは壇上で男泣き/  小林さんは表彰状を読み上げ、受賞者と握手をして花束、トロフィを渡すと舞台の袖に降りてしまいます。“今日の主役”の受賞者の挨拶を、涙をこらえて聴き入っている小林さんをカメラで狙ってみました!

物語コーポレーションのホスコンの目的は、

①ホスピタリティのレベルアップ

②お客様喜ばせスペシャリストの輩出

③お客様喜ばせスペシャリストによる店舗の活性化

だそうです。

「お客様喜ばせスペシャリスト」というのは、物語コーポの社内共通言語で、一般的に噛み砕くと「ホスピタリティにあふれる模範演技者」みたいなことだと理解しました。ここで表彰台に立った出場者、表彰台には立てなかったけれど全国大会という「物語コーポの甲子園」に立った「模範演技者」一人ひとりが、それぞれの店舗に帰って「ホスピタリティの渦」をたくさん作ってほしいという願いを込めて開催されているそうです。

年輪を重ねたステキな出場者も何人かお見受けしましたが、大多数を占めていた若手出場者の母親くらいの年齢に当たる私は、「若い時のアルバイト先で、こんなにも自分を磨いてもらえる機会を得た君たちは、本当に幸せで、ラッキーなんだよ」と、そっと教えてあげたい気分でした。

北は北海道から南は九州まで、全国を代表して集まった「第7回 ホスピタリティ・パートナーズ・コンテスト全国大会」の出場者たち。表彰式を終えてホッとした「お客様喜ばせスペシャリスト」たちの最高の笑顔

※出場者全員からもらった感動に敬意を表して、受賞者全員のお名前をメモから起こしてみました。おめでとうございます!(敬称略)

物語コーポレーション「第7回ホスピタリティ・パートナーズ・コンテスト」

※ベストホスピタリティ賞

【丸源部門ホールの部】

丸源ラーメン 千音寺店 甲斐 靖大

【丸源部門キッチンの部】

丸源ラーメン 松山中央通り店 奈須 昌彦

【焼肉部門ホールの部】

焼肉一番カルビ 飯田店 大島 あずみ

【焼肉部門キッチンの部】

焼肉きんぐ 小平店 片岡 勇次

【お好み焼部門ホールの部】

お好み焼本舗 川越新宿店 森 綾乃

【お好み焼本舗キッチンの部】

お好み焼本舗 西尾店 近藤 恵介

※特別賞

【丸源部門】

特別賞(ホールの部) お客様目線スペシャリスト賞 丸源ラーメン 名張店 宮川 恵美

ベストワールドスマイル賞 丸源ラーメン 大磯店 伊藤 加奈

特別賞(キッチンの部) あなたが丸源のスタンダードで賞 丸源ラーメン 足利店 荒井 真行

仲間にもお客様にも優しすぎるで賞 丸源ラーメン 市民病院前店 桝田 和代

【焼肉部門】

特別賞(ホールの部) 笑顔の伝道師で賞 焼肉きんぐ 沼津店 光永 美希

華のあるプロフェッショナル賞 焼肉一番カルビ 羽根店 藤井 美優

特別賞(キッチンの部) 匠賞 焼肉きんぐ 諫早店 田中 彬将

スマイル&セクシー賞 焼肉一番かるび 竹ノ塚店 須永 拓馬

【お好み焼部門】

特別賞(ホールの部) 心からの笑顔賞 お好み焼本舗 西尾店 山崎 恵里香

特別賞(キッチンの部) 料理を愛する漢。で賞 お好み焼本舗 松阪店 中川 博美

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フランジャ編集部

筆者:フランジャ編集部

フランチャイズ総合メディア『FRANJA(フランジャ)』の波多野陽子・編集長および編集スタッフが執筆。日本のフランチャイズに関わる日常的な出来事からトップ人事まで幅広く伝える内容で、フランチャイズ産業界の動きが知りたい方必読