おじいちゃんとおばあちゃんの純愛に涙「あなた、その川を渡らないで」

チン・モヨン監督が15カ月にわたって1人でカメラを回して撮影したそうですが、構図にもこだわり、季節の移ろいも丁寧に映し出し、ドキュメンタリーですが映画としての色合いが濃い作品です。 「あなた、その川を渡らないで」(7月30日よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー) (C) 2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.
チン・モヨン監督が15カ月にわたって1人でカメラを回して撮影したそうですが、構図にもこだわり、季節の移ろいも丁寧に映し出し、ドキュメンタリーですが映画としての色合いが濃い作品です。
「あなた、その川を渡らないで」(7月30日よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー)
(C) 2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.

突然ですが、皆さんは夫や妻、恋人などパートナーに日頃から愛情を示していますか?

日々の暮らしに追われていると、そんな余裕なんてないし、今更照れくさいし、言わなくても分かるんじゃない? なんて思っていませんか?

そんな方に是非、オススメしたいのが、この夏公開される韓国ドキュメンタリー映画「あなた、その川を渡らないで」です。

主人公は、夫チョ・ビョンマンさん(98歳)と、妻カン・ゲヨルさん(89歳)の老夫婦。秋は、掃き集めた庭先の落ち葉を掛け合い、冬は無邪気に雪をぶつけ合い、摘んだ花でいとおしそうに相手の顔を撫で、顔をぴったりと寄せ合って相手を思いやる言葉をささやきます。

結婚して76年を経た夫婦なのに、恋に落ちたばかりの10代の男女のよう。

老人会の遠足には赤とオレンジ、市場への買い物には黄色とピンク、おばあさんの膝の検査で病院に行くときには白と青と、2人でお出かけするときには必ずおそろいの韓服を身につけて、ギュッと手をつないでいます。 (C) 2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.
老人会の遠足には赤とオレンジ、市場への買い物には黄色とピンク、おばあさんの膝の検査で病院に行くときには白と青と、2人でお出かけするときには必ずおそろいの韓服を身につけて、ギュッと手をつないでいます。
(C) 2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.

「あなた、私のために何か歌ってよ」、「世界一愛しているよ」と、気持を素直に伝えるおばあさん。一方のおじいさんは、口数こそ多くありませんが、おばあさんのために歌い、痛みを訴えるおばあさんの膝にフウフウと息を吹きかけたり、眠っているおばあさんの髪やほほをそっとなでたり。

おふたりは12人の子どもが授かったものの、6人は幼くして亡くなるなど、長い結婚生活は、幸せばかりではなかったようです。でも、数々の苦難をともに乗り越えてきたからこそでしょうか、愛情で満たされた2人の笑顔は、福々しいほどです。

タイトルから想像できるように、この映画では老夫婦の睦まじい姿とともに、別れも描かれていて、「あの世で着られるように・・・」とおじいさんの服を火にくべるシーンは、涙を誘います。

2014年11月に韓国で封切られると、口コミで反響を呼び、ドキュメンタリー作品としては異例の大ヒットとなり約480万人を動員。

年配の方はもちろんですが、観客の4割は若者でした。

若者が老夫婦の何にひきつけられたのか、チン・モヨン監督のインタビュー記事によると、韓国の20代の若者は将来に希望を見出せない状況に陥っているなかで、「おじいさんとおばあさんの愛と、自分が求めている愛を同一視できたのではないかと思います」と答えていました。

おばあさんが14歳のときに結婚。でも、「結婚してもおじいさんは何もしてこなかった。私が傷つくと思っていたから。そして私が大人になるまで待つと言ってくれた」と、回想するおばあさん。「17歳で私からおじいさんに抱きついた」そうです。その時の少女のままのような可愛らしさです。 (C) 2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.
おばあさんが14歳のときに結婚。でも、「結婚してもおじいさんは何もしてこなかった。私が傷つくと思っていたから。そして私が大人になるまで待つと言ってくれた」と、回想するおばあさん。「17歳で私からおじいさんに抱きついた」そうです。その時の少女のままのような可愛らしさです。
(C) 2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.

普遍的な愛と別れの物語は、国境を越え、言葉や文化の違いも軽々と越えて、心に響く事と思います。

余談ですが、映画を観て改心(?)した私が、いつもより優しい声で感謝の気持ちを伝えたら、「何か欲しいモノがあるの?」と後ずさりされました。まだまだ夫婦としての修行が足りないようです・・・。

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橋本 伊津美

筆者:橋本 伊津美

流通ライター。1976年生まれ、明治学院大学卒業。女性ならではの視点で消費動向やトレンドをウォッチするライターとして活躍。FRANJAでは、有料記事で新連載「温故知新」を、また人気ブログ「橋本伊津美のトレンド小ネタ」(隔週金曜日)を連載中。その他、『日経MJ』(日本経済新聞社)、『日経レストラン』(日経BP社)、『地上』(家の光協会)など多数の流通小売業・サービス関連の新聞、雑誌で取材・執筆中