本部は揺れ動くも、「凡事徹底」を実践する現場 『大戸屋ごはん処』所沢プロぺ通り店

同じ金を出すならラーメン単品ではなく、「大戸屋ランチ」を食べた方が、確実に栄養バランスは良いと実感できる内容
同じ金を出すならラーメン単品ではなく、「大戸屋ランチ」を食べた方が、確実に栄養バランスは良いと実感できる内容

クレンリネスが行き届いた店内と厨房

路面店の『大戸屋』と同様、さほど大きくない入口
路面店の『大戸屋』と同様、さほど大きくない入口

9月某日の正午前。これでもかと続いた台風の影響で朝から小雨が降り続くなか、クライアントとの商談を終え、久方ぶりに埼玉県所沢市の商店街、通称「プロぺ通り」を歩く。そんな時に目にとまったのが『大戸屋ごはん処』のド迫力あるサンプルケースだ。
よく見るとその前では、雨のなか制服を着た女性スタッフが健気にも、集客のために「ドリンク無料券」を配布している。参考までに書くと、この店の立地条件は、他の店と同様に必ずしもいい場所ではない。所沢駅からは徒歩4~5分、雑居ビルの3Fにあり、通りから上を見てかろうじて看板が目に入る程度だ。実は大戸屋にとって、所沢は2度目の出店になる。

狭い入口からは想像できないほど明るい店内。女性客が多いのもうなずける
狭い入口からは想像できないほど明るい店内。女性客が多いのもうなずける

以前の店はもう少し駅に近い雑居ビルの地下にあったが、さすがの大戸屋も苦戦したのか比較的短期間で撤退し、今から5年ほど前に現在の場所に直営店として再出店した。

女性スタッフから「ドリンク無料券」をもらい、エレベータで3Fの店へ。
コンパクトな入口からは想像できないぐらい、店内は明るく清潔感と開放感溢れる空間が広がる。

3階に客を誘引するためには、このぐらいリアルで目立つビジュアルが必要だ
3階に客を誘引するためには、このぐらいリアルで目立つビジュアルが必要だ

客席から厨房内は見えないが、厨房から客席に続くカウンター扉は常時開放状態だ。
本来なら厨房部分は見せない方がベストだが、厨房の床は防水処理と配管の関係でかなり段差があるのだ。カウンター扉を常時開放しているのは、閉めた状態では段差で従業員が躓いてしまう危険があるからだろう。
開放せざるを得ないとなれば、本来は“裏方”の床にある吸塵・吸水マット、厨房内は常に清潔かつ整然としていなければならないが、その点、同店のクレンリネスの意識は十分に徹底されていると見た。

“凡事徹底”を実践する現場

筆者は大戸屋を利用すると、常にメニューを見て色々と逡巡するが、結局いつも「大戸屋ランチ」(税込699円)に落ち着いてしまう。そのぐらい、この店の“看板商品”の魅力・コスパは絶大だ。
やはり飲食店たるもの、必ず“看板商品”を作る必要があることを教えてくれる。

「大戸屋ランチ」は定食で699円(税込)、おかず単品だと514円(税込)で食べられる。これでしっかり利益が取れる仕組みを構築しているのなら恐れ入るしかない
「大戸屋ランチ」は定食で699円(税込)、おかず単品だと514円(税込)で食べられる。これでしっかり利益が取れる仕組みを構築しているのなら恐れ入るしかない
行き届いた状態の吸塵・吸水マットと整然と並ぶ食器類。同店のクレンリネスへの意識の高さを物語る
行き届いた状態の吸塵・吸水マットと整然と並ぶ食器類。同店のクレンリネスへの意識の高さを物語る

ほどなく注文した「大戸屋ランチ」が到着。メニュー写真同様の盛り付け、ボリューム感であることを確認する。「そんなの当たり前でしょう?」と言われる方もいると思うが、飲食店でメニュー写真と実物が「別物」という事例は結構多いと思いませんか。
サクサクした衣の「鶏の竜田揚げ」、安定した美味しさの「かぼちゃのコロッケ」に目玉焼き、キャベツ盛り合わせ、小鉢、味噌汁、白米と五穀米、ひじきご飯の3種類から選べるご飯、これが699円(税込)で食べられるとは、日本はつくづくいい国だと実感する瞬間だ。

「凡事徹底」(ぼんじてってい)という言葉がある。一般的には「当たり前のことを当たり前にやる」ことの難しさから、その重要性を説いた言葉として解釈されていた。しかし、近年では「当たり前のことを人には真似できないほど一生懸命やる」という解釈が正しいとされている。
ご存知の通り大戸屋のフランチャイズ本部は、“お家騒動”が社会問題化していて、未だ収束する兆しが見えない。でも、少なくとも現場は「凡事徹底」が実践されていた。改めて実質的な創業者であった、故・三森久実氏の経営手腕を再認識させられる一日となった。

 

採点星取表(最高★5
(1)料理とそれに対するコスパ ★★★★★
(2)店舗内外装のデザインや居心地などの店舗作り ★★★★★
(3)接客とサービスの徹底 ★★★★
(4)清潔さ(クレンリネス)の徹底 ★★★★★

本サイトで利用される画像・文章は筆者、トーチ出版または取材協力先及び素材提供元に著作権があります。 無断での転載や加工、再販等の行為は著作権法違反により罰せられます。

今週の調査隊員

ラチャダー・角松

子供の大学卒業を契機にサラリーマン生活に別れを告げ、現在はフリーランスの商業コンサルタントとして各方面で活躍。趣味はマイルを貯めての国内・海外旅行と実益を兼ねた株式投資。 今流行りの「チャート分析」や「株式自動売買システム」には目もくれず、財務諸表、販売商品、提供サービス全般のレベルチェック、従業員応対等、「顧客目線」での企業分析を最重視している。  「マーケティングは“足”“腰”だ!」が信条