飲食業としてのベーシックマネジメントが足りない?「吉野家所沢店」

創業以来、変わらぬ味の牛丼。築地本店の常連客の裏メニューだった「つゆだく」「つゆだくだく」「あたまの大盛り」等は、いまや吉野家全店の“定番メニュー”になった。まさに築地に集う「食のプロ達」に愛され、育ててもらったのが吉野家だ
創業以来、変わらぬ味の牛丼。築地本店の常連客の裏メニューだった「つゆだく」「つゆだくだく」「あたまの大盛り」等は、いまや吉野家全店の“定番メニュー”になった。まさに築地に集う「食のプロ達」に愛され、育ててもらったのが吉野家だ

覇気のないスタッフ、照明不点灯の客席

10月某日、よりによって月曜日の朝イチからという、“ダルさ全開”のクライアントとのミーティングを終え、昼食を取るため所沢のプロぺ通りの「吉野家所沢店」に入った。

所沢駅前の商店街、通称「プロぺ通り」の入口からすぐの場所にある「吉野家所沢店」。飲食店の立地条件としては最高の立地だ
所沢駅前の商店街、通称「プロぺ通り」の入口からすぐの場所にある「吉野家所沢店」。飲食店の立地条件としては最高の立地だ

「いらっしゃいませ。地下の席もご利用ください」と声がかかるので、地下にある広い客席に向かう。フロアに入るとすぐに、「なんか暗いなー」と感じる。
天井の照明器具を見ると、明らかにいくつかの蛍光灯とスポットが不点灯である。「ひょっとして節電?」とも感じるが、以前来た時はもう少し店内は明るかった。

元々カフェだった地下の客席は、他の吉野家の内装とはかなり雰囲気が異なる。今回の改装で床を張り替えて、さらにシックな雰囲気になった
元々カフェだった地下の客席は、他の吉野家の内装とはかなり雰囲気が異なる。今回の改装で床を張り替えて、さらにシックな雰囲気になった

器具の故障でなければ、スタッフの明らかなチェックミスということか?
ほどなく1階からアルバイトとおぼしき、男性スタッフがオーダーを取りに降りてきた。しかし、「いらっしゃませ」という声はあまりにか細く、弱々しい。おいおい、ここは「うまい、安い、早い」の天下の吉野家なんだぜ! 男子たるもの、「もうちょい元気出さんかい!」と思わずにはいられない。

夕方からの「吉飲み」を始めてから細かいメニューが増えたと思いきや、よく見ると普段から店で提供されている商品が中心。“酒のつまみ”としては少々物足りない気もするが、酒飲みにはこれで十分?
夕方からの「吉飲み」を始めてから細かいメニューが増えたと思いきや、よく見ると普段から店で提供されている商品が中心。“酒のつまみ”としては少々物足りない気もするが、酒飲みにはこれで十分?

衛生管理の意識に疑問が

昨年の小規模改装の際、新たに増設された喫煙コーナー。一般の客というよりも、夕方からの「吉飲み」客への対応か……
昨年の小規模改装の際、新たに増設された喫煙コーナー。一般の客というよりも、夕方からの「吉飲み」客への対応か……

初めに言うと、吉野家所沢店の場所は、はるか昔はお好み焼き屋、その後はカフェと変遷を続け、最終的に吉野家に落ち着いて10年以上経過している。
その間、地下の客席のレイアウトは軽微な変更を加えているが、元々のカフェ時代のレイアウトを踏襲していることで、吉野家としては珍しくテーブル席が多い。
また、1階、地下に厨房区画を持つというユニークな店舗形態となっており、商品はメイン厨房の1階から小型ダムウエーターで、地下の客席に送られる仕組みだ。
「牛丼あたまの大盛り+Aサラダ・味噌汁セット」(税込610円)を注文し、待っている間に改装後の店内に目をやる。少なくとも地下の客席から見た範囲では、客席の床の全面張り替え、天井及び壁面の塗り替えなど、客用部分の改装が主だったように感じた。

客席から清掃用のバケツとモップが丸見えの状況は、食品を扱う店としては完全に「失格」である。イメージもさることながら、衛生面でも感心できない
客席から清掃用のバケツとモップが丸見えの状況は、食品を扱う店としては完全に「失格」である。イメージもさることながら、衛生面でも感心できない

座った席から厨房スペースの中に、床拭き用のモップとバケツが置いてあるのが見える。
小規模零細店ならともかく、大手ナショナルチェーンであれば、清掃用具が厨房内にある状況は、衛生面や見た目からも勘弁してほしいもの。清掃用具は客からは見えない位置に置くか、しっかりとした保管スペースを確保するのが、真っ当な飲食店ではなかろうか?

10月は毎週金曜日に吉野家に行くと、若い女性客がやたら多かったのはこのキャンペーンのおかげ。今後の客層の広がりに期待できるか?
10月は毎週金曜日に吉野家に行くと、若い女性客がやたら多かったのはこのキャンペーンのおかげ。今後の客層の広がりに期待できるか?

前述した店内照明の不点灯を含め、この辺の“客目線”の意識が決定的に欠けているような気がしてならない。少なくともこのようなベーシックマネジメントの徹底は、店長含め社員、アルバイトに至るまで、普段からの心がけ一つで改善できることだ。そうこう考えているうちに注文商品が到着し、貪るように牛丼をかっ込み、変わらぬ美味しさに安堵しつつ吉野家を後にした。
筆者が思うに、業種にかかわらず繁盛店には3つの要素がバランスよく、嚙み合った状態であることが多い。1つは商品力、2つ目は接客力(販売力、サービス、人間的魅力も含む)、3つ目は店内外の環境整備(内装レベル、クレンリネス、分かりやすい陳列等含む)だ。
その意味では「吉野家所沢店」は、改善すべき点が多々あるように思えてならない。

採点星取表(最高★5
(1)料理とそれに対するコスパ ★★★★★
(2)店舗内外装のデザインや居心地などの店舗作り ★★★★
(3)接客とサービスの徹底 ★★
(4)清潔さ(クレンリネス)の徹底 ★★

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今週の調査隊員

ラチャダー・角松

子供の大学卒業を契機にサラリーマン生活に別れを告げ、現在はフリーランスの商業コンサルタントとして各方面で活躍。趣味はマイルを貯めての国内・海外旅行と実益を兼ねた株式投資。 今流行りの「チャート分析」や「株式自動売買システム」には目もくれず、財務諸表、販売商品、提供サービス全般のレベルチェック、従業員応対等、「顧客目線」での企業分析を最重視している。  「マーケティングは“足”“腰”だ!」が信条