人気の秘密は「味・サービス・ノウハウ集積の店づくり」「コメダ珈琲店」(四ツ橋新町店)

2016-12-14_03

明るい店内と好感度な接客応対

11月中旬、クライアントとの商談のため、今年2度目の大阪訪問となった。

入店前に全ての提供メニューが一読できるのは来店客に親切
入店前に全ての提供メニューが一読できるのは来店客に親切

今回は旧知の仲である、内装デザイン会社社長のY氏も同行。商談日の朝、朝食を取るべく街に繰り出す。行く先は昨晩のチェックイン後、周辺リサーチした際に見つけた「コメダ珈琲店」(四ツ橋新町店)だ。余談だがコメダ珈琲店は1968年に名古屋で創業、既に1970年にはFC1号店を開店した、いわば日本のFCビジネスの黎明期を代表する企業であることは意外に知られていない。
四ツ橋新町店はビルの1Fにあるが、店舗のファサード面が広く取れており、路上からの視認性もいい。店に入り、筆者はアイスコーヒー(420円・税込)を注文し、開店から午前11時まで無料で提供される、モーニングサービスB「手作りたまごペースト」、加えて「ミニサラダ」(200円・税込)注文する。Y氏はと言えば、「いやー腹減ってるんで、このモーニングでは足らないなー。」ということで、ブレンドコーヒー(420円・税込)と単品でコロッケバンズ(430円・税込)」を注文。

その大きさとボリュームで人気の一品
その大きさとボリュームで人気の一品

ご存知の方も多いと思うが、コメダ珈琲店では開店から午前11時までの間にドリンクを注文すると、3種類のモーニングセット(ハーフトースト+A:ゆで卵 B:手作りたまごペースト C:名古屋名物小倉あん)のうち、いずれか1つが無料でついてくる。

自社製のパン類の美味しさには定評がある。特にトーストの美味しさは特筆に値する
自社製のパン類の美味しさには定評がある。特にトーストの美味しさは特筆に値する

女性スタッフが「トーストはバターとジャムとどちらにいたしますか?」「当店のアイスコーヒーはシロップが入っており、少し甘めになりますがよろしいでしょうか?」と、型通りの接客だが、笑顔で明るく好感が持てる接客だ。「アイスコーヒーはシロップ抜きもOKでしょう?」「はい。シロップを抜くこともできます」と、私とのやり取りにもテンポが合う。漫才ではないが、この辺の客との会話・応対のテンポは重要だ。

ノウハウが詰まった店舗設計

コーヒーを待っている間に、Y社長と店舗内装について議論する。さすがに700店舗を超えるとあって、内装・備品はあらゆる区画の字型に対応できるよう工夫されている。

内装材の標準化が徹底された、明るく開放感のある店内
内装材の標準化が徹底された、明るく開放感のある店内

Y社長曰く、「安い内装材で上手くできていますよね。でもメニューは少ないのに、何であんなに厨房区画が広いんでしょうね?コロッケ程度しか揚げないのに」
言われてみれば同店に限らず、コメダ珈琲店には、ガラス張りの大きな厨房区画がある。

腰壁を床から1100mm未満に抑えることで、高価な不燃材を使用しないで済むこと から、大幅な内装費の削減に繋がる(※地域消防署の判断による)
腰壁を床から1100mm未満に抑えることで、高価な不燃材を使用しないで済むこと
から、大幅な内装費の削減に繋がる(※地域消防署の判断による)

これは何か大きな企業秘密か、ノウハウがあるに違いない。機会があれば、その辺の事情を同社の店舗開発担当に聞くことにしよう。続けざまにY社長、「腰壁の高さが床から大体1100mmあたりで止まっているでしょう?あの高さであれば、高価な不燃材を使用しなくても消防署の許可がおりますよ。投資コストをよく考えていますよね」
なるほど不燃材と通常の内装材とでは、平方メートル単価で1万2000~3000円前後は変わってくる。
内装材はその施工箇所にもよるが、一枚板で使用する部分は少ないことから必要な形に切り出した残りの部分は、たいてい廃材になってしまう。それゆえ内装材の単価は出店者側(フランチャイジー)にとって、出店コストの増減要因として無視できない。多店舗展開を可能とする背景には、そのようなコスト削減のノウハウの積み重ねがあるのだ。
さらに小声ではあるがこんな生々しい“業界人会話”ができるのも、同店の特徴である座席と仕切りの微妙な配置による、“個室空間風”づくりのなせる業だ。巷によくある、低価格コーヒー&シアトル系コーヒーショップの、“プライベート空間皆無”の座席レイアウトではこうはいかない。やはり全国700店舗の店づくりのノウハウは伊達ではない。
そんな会話をしているうちに、注文したメニューが到着し朝食がスタートする。

一見して豊富なアイテムがあると思うが、よく見ると品数は絞られ、大部分の食材は冷凍・チルドで一定期間の保存が可能なものばかり。廃棄ロスの軽減により、店の収益性は高まる
一見して豊富なアイテムがあると思うが、よく見ると品数は絞られ、大部分の食材は冷凍・チルドで一定期間の保存が可能なものばかり。廃棄ロスの軽減により、店の収益性は高まる

直営工場の自家製パンを使用した厚切りのハーフトーストは、表面がほどよく焼き上げられモチモチした食感と、何とも言えないパン生地の甘みが美味しさを際立たせてくれる。
コーヒーのみならず、パンの美味しさも同店が人気の理由に違いないと感じる瞬間だ。
最後にコメダ珈琲店でもう一つ忘れてはならないこと。それは既に同社が創業者の手から離れ、韓国系の投資ファンドであるMBKパートナーズの傘下企業だったが、株式を上場した。コメダがここまで拡大したのも、良くも悪くも投資ファンドの影響力があったからに他ならない。全国1000店舗を目指すコメダが、この先、現在のクオリティを維持しつつ、店舗拡大していくのを見守っていきたいものだ。

採点星取表(最高★5
(1)料理とそれに対するコスパ ★★★★★
(2)店舗内外装のデザインや居心地などの店舗作り ★★★★
(3)接客とサービスの徹底 ★★★★★
(4)清潔さ(クレンリネス)の徹底 ★★★★

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今週の調査隊員

ラチャダー・角松

子供の大学卒業を契機にサラリーマン生活に別れを告げ、現在はフリーランスの商業コンサルタントとして各方面で活躍。趣味はマイルを貯めての国内・海外旅行と実益を兼ねた株式投資。 今流行りの「チャート分析」や「株式自動売買システム」には目もくれず、財務諸表、販売商品、提供サービス全般のレベルチェック、従業員応対等、「顧客目線」での企業分析を最重視している。  「マーケティングは“足”“腰”だ!」が信条