スーパーマーケットの独立開業で儲かる極意。成功と失敗のポイントも解説。

目次

「スーパーマーケット」の開業が儲かるメリット・失敗すると儲からないポイント

近隣型スーパーの台頭と都市型小型食品スーパーの成長

  • 最近ではイオン系列の”都市型小型食品スーパー”をコンセプトにする「まいばすけっと」が急速に店舗数を拡大させています。
    車を持たない家庭が増えたことや、共働き世帯、単身世帯の増加によって、遠くのスーパーマーケットまで買いものに出かけるよりも「近所にある小型の食品スーパー」の方が便利だと感じる顧客が増えてきているのです。

スーパーマーケットの損益計算書(P/L)をチェックポイント

  • 開業後は、事業の健全性を評価するためにも、こまめに損益計算書(P/L)をチェックする必要があります。その主なポイントについて解説をしていきます。
  • 売上高:店舗別、商品部門別に正味の小売売上高の額と伸び率を把握し、売上高の増減要因が客単価か来店客数かを分析する必要があります。
  • 売上原価:棚卸方法が売価還元法で行われる場合、仕入原価法に比べて過大に評価される場合があります。
    仕入値引き、いわゆるリベートは正当な額であるか確認し、売上原価率の引き下げ方策とその実施状況を検討することが重要です。
  • 経常利益:流動有価証券売却益や為替差益などを除外した実質経常利益を把握する。
  • 特別利益:発生原因や未処理の内容を調査します。特に固定資産売却益がある場合、売却理由や売却先が最適だったかを再確認する必要があります。すでに売却をしてしまった場合でも、次の機会に学習を活かす事が大事です。
  • 特別損失:店舗リニューアルに伴う除却損など通常のものであれば問題ありませんが、赤字関連会社に対する貸し倒れ引当金がある場合があります。中小企業では引当金を計上していないケースがあります。

店舗コンセプトの細分化と異業態との競合対策

  • スーパーマーケットでは、顧客の多様なニーズに応えるために、店舗コンセプトを細分化する動きが見られます。
    ドラッグストアやコンビニエンスストアといった異業態との競合が激化しており、インターネットの普及やライフスタイルの多様化による電子商取引(EC)の進展も見られます。
  • 食品、飲料、酒類などのスーパーの主要商品はEC化率が低く、実店舗での購入意向が強い傾向にありますが、ネットスーパーへの対応や魅力的な売り場づくりによる実店舗の独自性を打ち出すことが今後の課題となっています。

立地条件の重要性と競合店の調査

  • 生活必需品を中心に扱うスーパーでは、開業の成功のためには立地条件が重要です。
    店舗へのアクセス、人の流れ、地域の人口動態や年齢構成などを確認し、店舗設備や商品の品揃えが商圏特性に適合しているかを検討する必要があります。
    また、同一商圏内や周辺の競合店の状況も重要なポイントで、実査して店舗との比較を行うことが不可欠です。
  • 開業にあたり、競合店のスーパーを調査する際には、店舗の実査が非常に重要です。
    顧客の来店状況、商品の陳列や店内レイアウト、稼働しているレジ台数、顧客対策、店員教育などを調査し、店舗ごとの繁盛度や成功の要因を把握します。
    最近では、無人レジの導入が一般的になってきているため、有人レジと無人レジの割合をチェックすることも重要です。

スーパーマーケットのビジネスモデルと顧客の便益

  • スーパーマーケットの定義は「売場面積の半分以上がセルフサービス方式であり、かつ売場面積が1,500平方メートル以上の事業所」とされています。
    一方で、一般的な理解としては、「セルフサービス方式を取り入れ、食品や日用雑貨、衣料品など家庭用品を扱い、現金での大量かつ廉価販売を特徴とする大型小売店」と捉えられがちです。
  • スーパーマーケットは、大きく二つに分類されます。一つは食品を中心に扱う食品スーパー、もう一つは食料品のほかに医薬品や日用雑貨、化粧品、家具やインテリアなどを扱う総合スーパーです。
  • 11店舗以上を単一資本で運営し、直接管理するスーパーマーケットは「チェーンストア」と称されます。

リベートと協賛金の役割と規制の影響

  • 流通業界では、「リベート(販売奨励金)」という独特の商習慣があります。リベートは、一定期間内に取引数量や売上高など特定の条件を達成した取引先に支払われる報酬です。
    スーパーマーケットでは、リベートを活用して特売を実施することが一般的です。
    さらに、セール協賛金など、特定のスポット企画に協力することで支払われるイベント協賛金も業界の慣習です。
    しかし、独占禁止法の規定により「優越的地位の濫用」とされる行為が規制されており、近年ではこのような商習慣が減少傾向にあります。
  • リベートや協賛金は、損益計算書において「仕入割戻しとして売上原価から控除する」「その他営業外収入に計上する」「営業外収益に計上」するなど、複数の方法で計上されることがあります。

売場面積の変化と店舗小型化のトレンド

  • スーパーの販売額を見ると、経済産業省「商業動態統計年報」によれば、全店ベースでは微増しているものの、既存店ベースでは減少傾向にあります。
    事業所数は微増しているものの、売場面積は減少傾向にあり、店舗の小型化が進んでいます。

スーパーマーケットによる農場経営と地域密着型仕入れ

  • スーパーマーケットが自ら農場を経営するケースも増加しており、小規模事業者に限らず大規模事業者も中央一括仕入れをやめ、店舗ごとの仕入れを採用する動きが見られ、消費者のニーズに細かく対応しようとしています。

スーパーマーケットの開業において把握しておくべき法律

  • 「スーパーマーケット」の開業を成功させるには下記の法律を把握しておく必要があります。
    • 食品衛生法
    • 食品表示法
    • 改正都市計画法
    • 中心市街地活性化法
    • 景品表示法
    • 独占禁止法
    • 個人情報保護法
    • 大規模小売店舗立地法

コンパクトシティに基づく法改正と中心市街地の再活性化

  • 中心市街地の活性化に関する法律や都市計画法の改正も重要な役割を果たしています。2006年5月には、人口減少や高齢化社会に対応した「コンパクトシティ」の考え方に基づく法改正が行われました。
    この改正は、市街地の郊外への拡散を抑制し、機能を中心市街地に集中させることを目指しています。
  • 特に流通業に大きな影響を与えたのは、都市計画法の改正で、大規模集客施設に対する立地制限が強化されました。この結果、2009年度の大規模小売店舗立地法に基づく届出件数は、2007年度に比べて約3割減少しました。

ロス管理と粗利率の最適化

  • ロス管理に関しては、見切りロス、廃棄ロス、機会ロスのバランスを保ちながら、販売量や客数の予測に基づいて戦略を立てます。
    商品種類ごとの粗利率やロス率を業界平均と比較して評価することは有効ですが、すべての商品種類で同一の採算性を目指しているわけではない点に注意が必要です。
    1番わかりやすい例としては「安売り商品」などの事例が挙げられます。
    スーパーでは、卵やカレー粉など、他の商品との同時購入も見込めるような商品を中心に、頻繁にセールが行われます。
    低価格で販売をするため、特売品のみを販売してしまうと、赤字になるケースもあるものの、同時購入される商品を含めると採算が合うようになっているのです。

プライベートブランド商品の強化

  • プライベートブランド(PB)商品の品質管理においても、製造会社の工場を事前に見学し、厳しい基準に基づいて商品を選定するなど、品質確保のための工夫を行っています。万が一、食の安全に関連する問題が発生した場合には、迅速に対応することが求められます。
  • 現代の消費者は、低価格品を求める傾向と、高品質・高価格品を好む傾向のどちらも強まっています。
    したがって、異なるニーズを持つ顧客に合わせた事業戦略の策定が重要です。
    店舗の位置や来店する顧客の特性に応じた商品ラインナップ、ポイント制度を利用した顧客の囲い込みなど、戦略的なアプローチが求められています。

キャッシュレス化の進展とスーパーマーケット業界への影響

  • 経済産業省の「キャッシュレス・ビジョン」によると、日本のキャッシュレス決済比率は2015年時点で18.4%に留まりますが、スマートフォンを用いたコード読取式決済などの普及により、その後急速に拡大しています。特にコロナ禍では感染症を警戒する顧客が増えたことで、急速にキャッシュレス決済が広まることになりました。
    これに伴い、キャッシュレス決済対応レジの普及が進み、グループ店舗でのみ使用ができるハウス電子マネーシステムの導入も拡大しています。

地域密着型ビジネスとしてのスーパーマーケット

  • スーパーマーケットのビジネスは個人消費に依存しており、地域別販売額は人口分布にほぼ比例しています。
    そのため、関東、近畿、中部地方の構成比が高く、売り場面積、事業所数、従業者数も同様の傾向にあります。

競合調査のポイント

  • 開業前、開業後に関わらず、定期的に競合を調査する事が必要です。
    その競合調査のポイントと、自社の改善ポイントを下記にまとめました。
  • 販売面
    • 売り場の配置や規模、商品内容の適正化
    • 各業部門の充実
    • 高齢者や単身者向けの販売食材の小分け化
    • 地域ブランドや高付加価値商品の導入
    • インターネットを利用した顧客囲い込み策の導入
  • 収益面
    • 仕入先や仕入条件の見直し
    • ロス管理の強化
    • 地代家賃の引き下げ余地
  • 効率面
    • 業務合理化のための自動発注システムの導入
    • 同業他社との提携や統合による経営資源の有効活用
  • 人事面
    • 人材育成の強化
    • 人員定着を目的とした人事制度・研修制度の構築
  • 施設面
    • 顧客流出防止のための店舗リニューアル
    • 不要資産の整理による経営資源の集中
    • 不採算店舗の閉鎖と地域商圏の見直し

電子商取引と実店舗との競争

  • 多くのIT企業が非効率な(非効率に”見える”)スーパーマーケット業界を変えようと、様々なコンセプトで参入をしました。例えば、販売スペースを店舗に持たず、インターネットで受注をして、配達することをを主軸とした「ダークストア」と呼ばれる業態です。
    しかし、結局は多くの事業が撤退に追い込まれており、スーパーマーケットの業態が古く見える一方で、いかに顧客に求められている事業モデルなのかを知らしめる結果にもなりました。

M&Aによる事業基盤強化と業界再編

  • 近年、スーパーマーケット業界では、出店拡大と並行して、事業基盤を強化する目的で中小規模のスーパーのM&A(合併・買収)が進行しています。
    商品開発、調達、流通の効率化を図るため、商社との提携や、スーパーマーケットを中心にドラッグストアなど異業態との複合店舗の展開も見られます。

労働力不足と人件費上昇への対応

  • 少子高齢化に伴う労働力人口の減少や、労働集約型産業であるスーパーマーケットにおける最低賃金の上昇による人件費の高騰は、業界全体の課題となっています。
    これに対処するため、技術研修の充実や能力給の導入、セルフレジやセルフ精算レジなどの業務効率化による人材の確保と定着が重要となっています。
    外国人雇用を進めるなどの対応も重要となってきます。

生鮮食料品の取引形態の変化と予約相対取引の増加

  • 生鮮食料品の流通経路は、従来のセリや入札によるスポット型取引から、より継続的な取引形態へと変化しています。
    卸売業者や小売業者間で特定の商品について行われる「予約相対取引」や、生産者から直接取引を行う「先取り(産直)」といった相対取引が増えています。
    これは、生産者と小売業者双方が取引の安定を求めているためです。
    大量に仕入れる場合は「先取り」を活用し、品揃えを広げる際には「予約相対取引」を通じて卸売業者を利用することが一般的です。これにより、コスト削減が実現されています。

加工食品流通の多段階構造とバイイングパワーの活用

  • 加工食品の流通では、メーカーから卸売業者を経由して小売業者に商品が届けられるのが通例です。卸売段階においては、全国卸、地域1次卸、地域2次卸など複数の業者が関わる多段階構造が形成されていることが少なくありません。大規模事業者はそのバイイングパワーを活かして大量に仕入れることができますが、小規模事業者は品数を絞る、共同での仕入れを行うなどの対策を取っています。

小規模スーパーマーケットの仕入れ戦略とバイイングパワーの重要性

  • 小規模なスーパーマーケットでは、仕入れたい商品を優先的に回してもらえないなどの不都合が生じるケースがあり、ある程度のバイイングパワーを持つことが、魅力的な商品を仕入れる上でのポイントにもなっています。

食の安全に対する消費者意識の高まりとスーパーマーケットの対応

  • BSE(牛海綿状脳症)、鳥インフルエンザなどの自然発生的な脅威だけでなく、毒物混入や産地偽装といった問題もあり、消費者の食の安全に対する意識は高まっています。
    これらの問題に対応するため、スーパーマーケットは食品の安全性と信頼性の確保に努める必要があります。
  • 現代では、消費者が食品の品種、産地、生産方法、出荷時期などを知ることができるトレーサビリティシステムの導入が進んでいます。
    このシステムによって、食品の生産、処理・加工、流通・販売に至るまでの各段階の情報を追跡し、必要に応じて遡及できるようになりました。
    この取り組みは、食の安全問題、例えばBSE(牛海綿状脳症)、鳥インフルエンザ、毒物混入、産地偽装などに対する消費者の関心が高まる中、特に重要になっています。
  • スーパーマーケットは商品検査部門を設置し、異物混入などのリスクを把握し管理する体制を整えています。

生鮮食品加工の方法と店舗運営への影響

  • 生鮮食品の加工については、仕入れた商品を加工する必要があり、機械設備や加工技術、パッケージング技術が重要となります。
    加工方法は、プロセスセンターでの加工(アウトパック)、店舗内での加工(インストアパック)、加工業者への委託加工に大別されます。
    これらの方法はそれぞれ長所と短所があり、店舗数、店舗の分布、商圏特性、経営資源、さらには商品ごとの鮮度要求度や販売量を考慮して、最適な加工方法が選択されます。

生鮮食品の売価設定と歩留り管理の重要性

  • 生鮮食品の売価設定においては、青果物の場合、傷みによるロスや売れ残りに対する見切り販売が売価に反映されています。また、競合店や商品特性を考慮して売価が設定されます。
  • 生鮮食品特有の「歩留り管理」が売価設定(値入率)に影響を与えており、入荷時の歩留り、売り場での鮮度低下による歩留りなど、入荷から加工、販売に至る各段階での歩留りの変化は、原価の変動につながります。

自社に最適なオペレーションを選択する

  • アウトパック(プロセスセンターでの加工)の特徴と長所・短所
    • プロセスセンターで一括加工を行い、各店舗に配送。
    • 豚肉や牛肉などの加工に多用。
    • 商品パックの量に制約がない。
    • 熟練を要する従業員が少なくて済む。
    • 店舗内の加工処理スペースを小規模化できる。
    • 鮮度が要求される商品には不向き。
    • プロセスセンターからの配送に手間がかかる。
  • インストアパック(店内加工)の特徴と長所・短所
    • 各店舗で加工を行う。
    • 魚の刺身や焼肉用の肉などに使用。
    • 鮮度を保持できる。
    • 加工が可能な従業員が各店舗に必要。
    • 量に制約がある。
    • 店舗内に加工処理スペースが必要。
    • テナント委託加工
    • 生鮮食品部門の運営を専門業者に委託。
    • テナントの選定のみに注力し、日常の加工業務は省略できる。
    • 優秀な専門業者を選べば競争力が強化される。
    • 常に優秀なテナントを確保する保証がない。
    • 業務改善の余地が限られる。

市場トレンドと消費者ニーズの変化

  • 最近のスーパーマーケットの販売額は全体的に微増傾向にありますが、商品カテゴリーごとの構成比は変動しています。
    利益率が高い衣料品の販売額は減少している一方で、飲食料品の販売額は増加しています。
  • 個人消費に関する環境は、低価格志向が根強いものの、品質を重視して少々高価な商品を求める傾向もあります。
    共働き世帯、単身者、高齢者の増加に伴い、中食市場(弁当や惣菜など)が拡大しています。
    これに対応するため、スーパーマーケットは弁当や惣菜の品揃えを強化・拡充することが重要となっています。

スーパーマーケットの財務戦略と運転資金の重要性

  • 販売は消費者への現金販売が主で、仕入れは卸売業者への買掛金や支払手形での支払いが中心です。
    通常、仕入債務は売上債権より大きく、運転資金の調達は不要ですが、売上規模が縮小すると運転資金需要が増加する点に注意が必要です。

生鮮食品部門の運営と利益管理

  • スーパーマーケットにおいて、生鮮食品部門は売上の約4割を占めるとされており、極めて重要なセクションです。生鮮食品や惣菜は粗利率が高いものの、鮮度管理や加工コストがかかるため、効率的な運営が必要です。

資金調達と設備投資のタイミング

  • 開業後、資金調達が必要になるのは、新しい店舗の建設や改装などの設備投資が行われるタイミングです。新規出店の際には、賃借による出店が多いですが、立ち上げ資金としての差入保証金が必要になります。規模が大きいと、物流センターや加工センターの建設資金も発生します。
    生鮮食品の加工や陳列のための冷凍冷蔵庫やパッケージング機器、ショーケースなどの設備は、リースを利用することも多いです。
    金融機関からは、収支計画や企業の財務状況を検討し、過大な設備投資になっていないかを注意深く見極められることになります。

現金商売の特性とリース活用の戦略

  • 基本的にスーパーは現金商売であることからも、運転資金が不要です。
    スーパーは店舗出店時にオペレーティングリースなどのオフバランスを活用することが多いので、借入金額が少なくともオフバランスのリース債務を含めると実質的な有利子負債が大きくなます。

スーパーマーケットの歴史とその進化

  • スーパーマーケットの歴史を振り返ると、1930年代にアメリカでマイケル・カレンによって総合食品のセルフサービス・低価格販売の小売業態が開発されたことから始まっています。
    日本においては、1953年に東京・青山にオープンした紀ノ国屋のセルフサービス店がスーパーマーケットの嚆矢が始まりとされています。
    その後、日本全国で食料品や衣料品を扱うスーパーマーケット(通称「スーパー」)が数多く誕生しました。
  • 昭和30年代に差し掛かると、現代のスーパーマーケットが低利益率・高回転の販売戦略を採用し、低価格での販売を実現したことが消費者に受け入れられ、店舗の多店舗化、大型化、商品の総合化によって、急速な成長を遂げました。
  • 特に1972年には、ダイエーが売上高で三越を上回り、小売業界のトップに立ちました。しかし、1974年3月に施行された「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」(大店法)、および1982年の大店法の規制強化により、スーパーの新規出店は鈍化しました。
  • 1980年代には、消費者のニーズの多様化や個性化、商品回転率の低下、店舗の巨大化に伴う固定費の上昇が影響し、大手スーパーの業績は鈍化し始めました。
    この時期から、多くのスーパーは「業務改革」と称する経営体制の見直しを行い、数量重視から質重視へのシフトとともに、小売業を核とした多角化戦略を推進しました。
  • 1990年代後半以降は、大店法の緩和に伴い、日本の流通業界は過剰な店舗数(オーバーストア)に陥り、経営破綻や店舗閉鎖が多く見られました。
    その結果、M&Aや業界再編が活発になりました。近年では、大手スーパーに対抗するための合併や資本・業務提携が目立ちます。また、小売業全体が成長を遂げる中で、スーパーの販売額は伸び悩み、ドラッグストアやコンビニエンスストアなど他業態との競争が激しさを増しています。

スーパーマーケットの貸借対照表(B/S)をチェックポイント

  • 開業後は、PLに加えて、貸借対照表(B/S)も定期的にする必要がありまので、その主なポイントについて解説をしていきます。
  • 現預金:複数店舗を運営する場合は、各店舗の売上金が本社に速やかに集中され、効率的に運用されているかを確認します。
  • 売上債権:クレジットカード売上げの信販会社やカード会社に対する売上債権は問題ありませんが、関連会社や系列企業への卸売に対する長期滞留分がないかを調査します。
  • 有価証券:有価証券の評価方法、含み損や含み益の状況をチェックする。必要であれば、処分を検討する。
  • 棚卸資産:棚卸方法の適切性と評価方法の変更の有無を確認します。特に、長期滞留商品(例えば、値入率の高い宝石や呉服などの高額商品)の評価損については、適正な評価が行われているかどうかを確認する必要があります。なお、理想的には毎月1回の実施棚卸が望ましいです。
  • その他の流動資産:総資産の3%を超える金額の流動資産については、内訳内容と増減理由を調査します。
  • 土地:土地の含み損益の額や遊休不動産の有無について調査する。遊休不動産がある場合は、フランチャイズなどを活用して、手間を減らしつつ、別事業を運営することも考える。
  • 建物・設備:リニューアルや増床に伴う減価償却不足や除却損の計上漏れがないかを確認する。
  • 建設仮勘定:開発物件に関して長期化しているものがないか、土地の取得状況や金利の原価算入が行われているかを確認する。
  • 保証金・建設協力金:実態が長期貸付金的性格に近いものもあるため、契約内容、相手方の資力、返還請求に対する保全状況などを調査する。保証金と坪当り賃料のバランスや物価上昇以上の傾斜賃料になっていないかを確認する。
  • 無形固定資産:吸収合併等による営業権や商標権の計上が適正かどうか、減価償却が実施されているかを確認する。
  • 投資有価証券:有価証券の評価に関しては、前述の内容に同じ。
  • 出資金・長期貸付金:相手先をあらためて調査し、関連会社や系列会社であれば、細かく概要を把握する。赤字会社に対しては、適正に評価損引当金が計上されているか、赤字の原因と対策、今後の見通しを調査する。
  • 繰延資産:創業費や社債発行費などが多額である場合、償却負担が大きいため注意する。収益力のある企業では発生期中に一括処理することが望ましい。
  • 支払勘定:過度なバイイングパワーの行使(一方的値引き、返品)により、相手方の売掛残と相違する場合があるため、注意が必要です。
    支払サイトが短縮している場合、その原因が仕入れ値引きのためなのか、業績低下に伴う仕入先への与信残高の縮小によるものなのかを確認することが重要です。
  • 借入金:スーパーマーケットは現金商売のため、通常は設備資金を手持ち現金で支払い、運転資金不足の際には短期調達するケースが多いです。
    そのため、長期と短期の借入金比率がアンバランスになることがあります。また、決算日には手持ち現金で一時的に借入金を返済し、表面上の借入金額を減少させるケースも多くあります。

スーパーマーケットの行うべきキャッシュフロー分析

  • 開業後は、キャッシュフロー分析を行うことも重要です。
    売上が増加するとキャッシュフローが増加し、運転資金の調達必要性は生じませんが、売上が減少するとキャッシュフローが減少し、買掛金の支払いのための運転資金が必要になります。
    スーパーでは、新しい店舗や設備の投資によって投資キャッシュフローが大きな赤字となることがあります。このため、営業キャッシュフローの水準と比較して、過大な投資になっていないかをチェックすることが重要です。

経営戦略立案におけるチェックリスト

  • 新規で、経営戦略を描くには、下記の方向性を検討すべきです。
    • 出店用地や物流センター用地の活用方法
    • 類似の同業他社の不要店舗やM&Aの機会
    • 商業施設へのテナント出店
    • 事業多角化
    • 合併の検討
    • 消費者ニーズに合致した低価格商品の納入業者の探索
  • 開業後、経営を軌道に乗せるには、下記のポイントを意識する必要があります。
    • 顧客のニーズに合った品揃え:売れ筋商品の欠品を避け、死に筋商品の排除により機会ロスを防ぐ。POSデータを活用した在庫管理システムの構築が重要です。
    • 従業員教育の徹底:顧客との接点である店頭での苦情処理などに誠実に対応できる教育の実施。
    • 本業以外の事業の見直し:フランチャイズの活用余地などを探るパターンが多いです。
    • 粗利益率の改善:在庫圧縮による廃棄ロスや値引きロスの減少。
    • 経費の合理化:販売管理費の圧縮、店舗作業のマニュアル化や標準化。
    • 商品構成の見直し:高付加価値商品の導入による値入率の向上。
    • 不採算店舗の早期スクラップ化:赤字が少ないうちに閉鎖を決断する。
  • 本記事の内容は調査時点のもので、独自調査による推測の情報を含んでおります。数値等の情報を含め保証されるものではありません。
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