ファストフードの独立開業で儲かる極意。成功と失敗のポイントも解説。

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「ファストフード」の開業が儲かるメリット・失敗すると儲からないポイント

和食ファストフードの市場拡大とチェーン店の戦略

  • 和食ファストフード業界では、多くの企業は、直営店とフランチャイズチェーンを通じて、店舗ネットワークと売上を拡大しています。これらの店舗の多くは、個人や法人が運営するFC加盟店です。
  • 和食ファストフード業界では、特に牛丼チェーンが代表的で、リーズナブルな価格と手軽さで、特に男性客に人気です。
    例えば、「吉野家」は昭和の時代に急速に成長しましたが、その後は経営の波乱も経験しつつ、新規参入企業の増加や牛肉輸入の自由化などを経て、業界全体も大きく成長しました。
    2001年に発生したBSE問題は大きな打撃でしたが、これを機に新しいメニューの開発が進みました。
  • 100店舗以上を展開するチェーン店が存在する主要カテゴリーには、牛丼、天丼、かつ丼、うどん、立ち食いそばなどがあります。
    牛丼業界は特に価格競争が激しい分野で、トップブランドの1つである「すき家」は350円から牛丼を提供しています(時期によって価格は大きく変動します)。
    また、各社は景気の回復を背景に、牛鍋や鰻丼、海鮮丼など高価格帯の商品を投入しています。

和食ファストフード業界の競合状況と将来性

  • 競合状況に関しては、同業種や異業種のファストフード店が主なライバルです。
    低価格を訴求するラーメンチェーンや、持ち帰り弁当店、コンビニエンスストアなど、いわゆる中食も強力な競争相手となっています。
  • ファストフード業界の将来性に関しては、今後も低価格戦略と積極的な出店計画が継続されると考えられますが、業界内での競争の勝敗はコスト削減とチェーン店システムの維持能力にかかっています。

ファストフード業界の特性と発展

  • ファストフードという言葉には様々な定義が存在しますが、多くの場合「迅速さ」を重視した飲食ビジネスを指します。
    そのため本記事では、ファストフード業界(業界では「FF業」と略されることが多い)は、食品とサービスの迅速な提供が特徴の飲食業態と定義します。
  • 本記事では、論点を絞るためにも、ファストフード業界の中でも、特にハンバーガーではなく、和食をメインとする店舗に焦点を当てます。
    具体的には、牛丼、天丼、かつ丼、うどんなど、イートイン形式の和食ファストフード業界について考察します。

フランチャイズによる多店舗化と効率経営

  • フランチャイズなどによる、多店舗化の目的は、仕入れ、加工、調理、配送、販売において、標準化や簡素化を図り、大幅なコスト削減を達成することです。
    セントラルキッチンと仕様書発注方式に関して、店舗数が一定数を超えた場合、食品メーカーや問屋への大量発注や仕様書による発注ができるようになります。
  • 集中的な仕入れ、管理、調理加工を行うセントラルキッチンや、効率的な物流システム、受発注や在庫管理の情報システムの構築ができます。
    これにより、品質保持、原材料ロスの低減、品質・味の均一化が実現されますが、設備投資や配送コストなどの問題も生じます。

フランチャイズ開業時の収支モデルの検証

  • 新規開業の場合、フランチャイズチェーン本部が示す収支モデルが、実態と異なることがあります。
    加盟店側はそれを信じて融資申込みする事になりますが、盲目的に信じる事なく、自身でも立地や商圏人口などの状況をチェックしながら、慎重に加盟判断をする必要があります。

低価格戦略と経営効率化の重要性

  • ファストフード業界では、チェーン店の経営において、今後も低価格戦略と積極的な出店計画が中心になると考えられます。
    収益向上を目指す上で、スケールメリットを活かしたコスト削減、多様なセットメニューやサイドメニューによる客単価の向上、キッチンの効率化、そしてコンピュータネットワークの導入が重要です。
  • 外食産業全体で見られる人手不足に伴う人件費の上昇は、収益を圧迫する大きな要因となっています。
    経営指標においては、販売管理費、特に人件費の削減が重要なポイントです。

和食ファストフード業界の特性と消費者ニーズの変化

  • 和風ファストフード業界は、その「迅速」かつ「低価格」なサービスに加え、店舗の統一されたクリーンな環境や衛生管理に力を入れ、男性客だけでなく女性やファミリー層にも利用しやすい雰囲気を作り出しています。
    最近では、女性が1人で利用しているシーンも全く珍しいことではなくなりました。
  • 消費者の嗜好は近年変化しており、特にファストフード業界においては、味の質への重視が顕著になっています。
    例えば、顧客の中には「つゆだく」のように特定の食材の量を好みに応じて調整する需要が高まっています。
    また、健康志向の波も高まり、従来の「高カロリーで栄養バランスが偏っている」というファストフードのイメージを改善する動きも見られます。
    米の代わりに、野菜を利用する牛丼メニューなども開発されており、単価の高いサラダ付き定食メニューも人気となっています。

原材料市況と自給率の変化

  • 牛丼だけでなく、天丼チェーンやかつ丼チェーンも、魚介や豚肉といった原材料の市況の影響を受けます。
    アジアの新興国の経済発展に伴い、食料需給の逼迫が懸念される中、原材料価格の動向には注意が必要です。
  • 和風ファストフードチェーンにとって重要な牛肉、豚肉、魚介類の自給率の変化を時系列で見ると、牛肉の自給率は1985年頃までは70%を超えていましたが、その後の関税率の引下げにより輸入量が増加しました。
    この傾向は2000年まで続き、2001年のBSE問題発生以降は自給率が再び増加し、2006年のアメリカ産牛肉の輸入再開以降は横ばいを維持しています。
    豚肉や魚介類も同様に長期的に自給率が低下していましたが、最近は横ばいになっています。

業界成熟期の牛丼チェーンと成長するうどんチェーン

  • 近年では、吉野家をはじめとした各社牛丼チェーン店では、鉄板で焼かれたカルビや、唐揚げなどのメニューも取り扱いを強化しており、牛丼以外の飲食市場も取り込みながら着実に成長を続けています。
  • 和食ファストフード業界では、牛丼の他にも、天丼チェーンが市場拡大を遂げています。
    最近では、うどんチェーンや、かつ丼チェーンも成長を見せています。
    FF業界の共通の特徴としては、低い客単価と高い客回転率を背景に売上を確保している点が挙げられます。牛丼チェーンやうどんチェーンは、まさにこの特徴を色濃く反映しています。
  • 一方で、天丼チェーンやかつ丼チェーンは、ファストフード業界の中では比較的価格が高めです。
    これは、使用する原材料のコストが牛丼チェーンより高いためですが、薄利多売の基本戦略は同じです。
  • 近年の動向を見ると、牛丼チェーン3社の店舗数は横ばい状態にあり、合計で4,000店を超える規模に達しています。これは業界が成熟期に入っていることを示唆しています。
    一方、うどんチェーンでは「丸亀製麺」が店舗数を伸ばしており、「はなまる」も店舗拡大を続けています。
  • 牛丼チェーンにおいては、「すき家」「吉野家」「松屋」が3大ブランドとされており、松屋フーズは牛丼業態に加え、とんかつチェーン「松のや」も展開しています。
    うどんチェーンの中では、「丸亀製麺」が売上高と店舗数の両面でトップです。
    牛丼チェーン店の牙城を崩すかに思われた急成長ブランド「東京チカラめし」などは急速に店舗数を縮小させることになりました。
  • その他の和風FFチェーンとして、「天丼てんや」を運営するテンコーポレーション(東京都台東区)、とんかつ・かつ丼の「かつや」を運営するアークランドサービス(東京都千代田区)が挙げられます。
    「天丼てんや」は首都圏を中心に約200店、そして「かつや」は全国で約390店を展開しています。

IT活用とSNSを通じた情報発信の効果

  • IT活用や投資に関しては、和食FF店はPOSシステムの導入が進んでいますが、情報収集の向上やハードウェア・ソフトウェアの整備・更新も課題です。
    また、SNSを活用した情報発信も重要で、主要チェーンはLINE、Twitter(現X)、Facebookなどを用いて、若者を中心に情報を発信しています。

コスト削減とチェーン店システムの維持

  • 原価の削減は、スケールメリットとグローバルな仕入れ体制を通じて実現されるべきであり、単品商品の低利益をセットメニューやサイドメニューで補う戦略、キッチンの高度化、ネットワーク化、そして効果的な人材育成が重要な役割を果たします。
  • 食品の安全性や品質を確保するためのHACCPの導入や、健康志向の高まりを受けて有機栽培の野菜などの仕入れの拡大も、社会的に求められています。

接客サービスのマニュアル化と自動化・IT化

  • 接客サービスのマニュアル化とレストランオートメーションも重要です。接客サービスをマニュアル化することで、一定のサービス水準を保ち、パートタイマーの活用により人件費を削減しています。
  • 技術的には、多くの店舗にPOSシステムが導入されており、店舗のPOSレジはオンライン化され、本社での即時的な情報収集や、各店舗での売上、在庫、従業員管理が可能になっています。
  • 注文用の携帯端末機、データ転送環境、厨房用プリンターを用いることで、待ち時間の短縮や注文・精算のミスの減少を図っています。
  • ファストフード業界における顧客の支払い方法は、不特定多数によるもので、主に現金での支払いと食券販売機を使用した前払い方式に分けられます。

支払い方法と回収の条件

  • 支払いと回収の条件に関しては、一般的には仕入れと売上の両方で30日程度の期間での回収と支払いが行われます。

設備投資と運転資金の調達

  • ファストフード業界は在庫をあまり抱えないため、運転資金の調達は高頻度では必要ありません。
    しかし、店舗の新設やリニューアルなどの設備投資は大きな負担となります。
    多くの場合、土地は借地、建物はリースであり、内装や外装、厨房、インテリアには数千万円の投資が必要になることがあります。
    顧客ニーズの把握のためのシステム関連投資やセントラルキッチンの建設には資金が必要となります。

開業前の業態分析と経営指標の確認

  • 開業を決めるには、和風ファストフードチェーン店の売上高、収益性(利益率、コスト率)、安全性の各指標を確認することが重要です。
    和風FFチェーン店の専門的な経営指標は存在しませんので、開業業態に近しい上場企業のIRなどを分析すると参考になります。

都市部に集中する和食ファストフードチェーンの地域分布

  • 牛丼とうどんの大手チェーン店の地域分布を基に分析していきます。「すき家」は全店舗の約1/3が首都圏に集中し、「丸亀製麺」も全店舗の約3割が首都圏に位置しています。
    これにより、和風ファストフードチェーンは首都圏を中心に都市部に多く店舗を構えていると考えることができます。

飲食店経営のFLコストとフランチャイズのコスト構造

  • 飲食店を経営するには、原価と人件費の合計であるFLコストを売上の60%以内に抑えることが望ましいとされています。
    収益性が低い場合、フランチャイズ本部へのロイヤルティが過大でないか確認する必要もあります。
    フランチャイズの加盟店として開業する場合は、ロイヤリティーなどの、フランチャイズ特有のコスト構造を加味した上で、事業計画を詰める必要があります。

財務安全性の分析指標

  • 開業後の事業の安全性を分析するには、当座比率や流動比率で評価します。
    これらの指標は、数値が大きいほど安全性が高いとされ、当座比率は100%以上、流動比率は130%以上が望ましいとされます。

技術革新と新商品開発の必要性

  • 技術革新や新商品開発も重要です。多様な顧客層に対応するため、和風FF業界では、メニューやサービスの開発が不可欠です。
    大手チェーンが多いこの業界では、オペレーションシステムの合理化やマニュアル化が進んでいます。
    例えば、2013年に話題となったすき家のワンオペレーションのように、規模の拡大と共に人材確保や運営方法の工夫も求められています。

ファストフード業界の運転資金と設備投資

  • ファストフード業界では運転資金の調達必要性は比較的少ないです。これは、在庫を大量に抱える必要がないためです。しかし、設備投資に関しては、新規出店や改装などの店舗開発に多額の資金が必要となります。
    多くの場合、土地は借地、建物はリースであり、内装や外装、厨房、インテリアへの投資は数千万円に上ることがあります。また、所有者への保証金が必要な場合もあります。
  • 既存の店舗を活用した居抜き物件での開業や、店舗のリニューアルの際には、改装などで設備資金が必要になります。

ファストフード店の開業における関連法

  • ファストフードを開業する際には、様々な関連法や規制があるため、経営者は把握しておく必要があります。
    • 食品衛生法: 飲食業に該当するため、保健所の営業許可が必要であり、その指導も受けなければなりません。
    • 生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律: この法律は飲食店を含む環境衛生営業業界の健全な発展を目的として設けられており、施設の向上や経営の健全化、同業組合設立などの指導を受けることが含まれます。

価格動向と消費税率引上げの影響

  • 価格動向について触れていきます。大手ファストフードチェーンは、店舗数の増加による規模の経済効果でコスト削減が可能となります。
    一般的には低価格戦略が強化され、販売価格は下降傾向にあります。
    特に牛丼チェーンではかつて価格競争が激化した時期もありましたが、最近の消費者物価指数を見ると、価格は安定しています。
    しかし、過去にはアメリカ産牛肉のBSE問題の際のように、輸入停止措置による価格の高騰が起こり、値上げを余儀なくされた時期もあります。
  • 2019年10月の消費税率引上げに際しては、テイクアウト商品に軽減税率(8%)が適用されたため、テイクアウトが多い牛丼チェーンなどでは、販売面でのプラス要因となりました。
    コロナ禍でも、テイクアウトやデリバリーの収益を大幅に伸ばすことができました。

海外展開の拡大

  • 海外展開についても注目すべきです。牛丼やうどんなどの大手チェーンは、すでに海外に店舗を持っており、特に「吉野家」は中国やアメリカを中心に800店を超える規模です。国内市場の成熟を考慮すると、今後の成長には海外出店が鍵を握ると考えられます。

資金調達方法と政策金融公庫の利用

  • ファストフードを開業する際の資金調達には、いくつか方法があります。
    • FF業態特有の融資制度は存在しませんが、開業時には日本政策金融公庫の「新規開業資金」や「新創業融資制度」を利用できます。
    • 既存店のリニューアルの場合、一般貸付のほかに、環境対策や安全対策のための低利長期の特別貸付制度を利用できる場合があるため、細かく制度をチェックするべきです。
    • 海外展開に関しては、海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)による融資があります。
      この機構は日本の魅力ある商品やサービスの海外事業展開を支援・促進することを目的としています。例えば、2014年12月にはラーメンチェーン店「博多一風堂」が約7億円の融資を受けた事例があります。
  • 本記事の内容は調査時点のもので、独自調査による推測の情報を含んでおります。数値等の情報を含め保証されるものではありません。
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