「惣菜屋」の独立開業で儲かる極意。成功と失敗のポイントも解説。

目次

「惣菜屋」の開業が儲かるメリット・失敗すると儲からないポイント

「惣菜屋」の歴史と発展

  • 歴史的に見ると「惣菜屋」は江戸時代初期に始まりました。当時、現在の東京である江戸や、現在の大阪である上方などの大都市で、煮物や餅を街頭販売する「煮売屋」が存在していました。
    明治時代に入ると、食文化の欧米化と近代化が進み、煮物の販売に加えて揚げ物などの加工食品を扱う店舗が出現し「惣菜屋」という呼称が一般化しました。

社会変化がもたらす惣菜業界の成長機会

  • 高度経済成長の時代以降、女性の社会進出や核家族の普及、単身世帯の増加などの社会的変化が起こり、調理に手間をかけずにすぐに食事ができることを求める消費者ニーズが高まりました。
    これに伴い、「惣菜屋業界」は成長し続けてきました。

中食市場としての惣菜の新たな地位

  • 最近では、自宅での食事(内食)と外食の中間に位置するとして、弁当や惣菜は「中食」と呼ばれ、外食産業企業や食品メーカーからも注目されています。

惣菜市場の変遷と現状

  • 惣菜店の市場規模についての明確な統計は見当たりませんが、2008年のリーマンショックをきっかけに家庭での調理(内食)志向が強まり、市場は一時的に縮小しました。
    しかし、2009年以降は再び増加に転じ、「中食」化の進展とともに市場は堅調な成長を続けています。

惣菜業界大手の動向

  • 売上高において、兵庫県神戸市のロック・フィールドが運営する「RFl(アール・エフ・ワン)」と、愛知県名古屋市のカネ美食品が展開する「Kanemi」が、「惣菜屋」業界の先頭を走っています。
    これらの企業は、主に百貨店やスーパーマーケットを中心にした商業施設内に店舗を構えています。

地域経済活性化の鍵:全国の事業所分布と開業のチャンス

  • 地域別の特徴に目を向けると、事業所は、東京都が最も多く、その後に神奈川県、大阪府が続いており、全体の半数以上が上位10都道府県に集中しています。
  • 消費者側の動向を掴むために総務省の「家計調査年報」を参考に分析をすると、地方ごとの調理食品への一世帯当たりの年間支出額は、北陸地方が最も多く、次いで関東地方、近畿地方の順になっています。

消費者支出の増加傾向と惣菜市場の機会

  • 総務省の「家計調査年報」によると、調理食品における一世帯当たりの年間支出金額は、2013年以降は全体的に増加傾向にあります。
    特に、惣菜は30~40代の共働き世帯を中心に、強い需要が見込まれています。

個食化トレンドと多様な消費者ニーズへの応答

  • 消費者は味や素材に対するこだわりが強くなり、家族ごとに好みに合わせて異なる食品を選ぶ「個食化」も進んでいます。
    これに伴い、美味しく、多種多様な惣菜を提供する取り組みが、最近ますます見られるようになっています。

プレミアム惣菜の成功例:デパ地下・駅ナカ・ホテイチの事例

  • 特に目立つ動向として、百貨店の地下食品売場である「デパ地下」や鉄道駅構内の「駅ナカ」は、価格が少々高めでも、多くの人々に支持されています。
    加えて、ホテルの1階に設置された食品売り場「ホテイチ」も現れ、一流シェフが調理した惣菜を提供することで、質にこだわる消費者に人気を集めています。
    これらの施設では、消費者の多様な好みに応えるバラエティ豊かな惣菜が提供され、個々人の好みに合わせた「個食化」の傾向を後押ししています。

海外展開による事業成長戦略の模索

  • 業界の大手であるロック・フィールドは、2010年に中国・上海に「RFl」の海外初店舗を開設し、その後香港にも展開しました。これらの店舗は主に百貨店やスーパーマーケット内にテナントとして出店しています。国内の人口減少や少子高齢化を考慮すると、海外展開は今後の成長戦略として重要な要素となります。

中食市場の安定性と新規参入者による競争激化

  • 惣菜や持ち帰り弁当の中食市場は比較的安定しているため、外食産業など他業種からの新規参入が増加しており、競争はますます激しくなっています。
    惣菜(中食)の販売チャネルは、コンビニエンスストアや量販店、食品スーパーマーケットなど、多様化しています。

食品安全性への高まる関心と事業者の対応

  • 食品の安全性に関する問題も重要です。雪印集団食中毒事件、アメリカ牛のBSE問題、不二家の賞味期限切れ材料使用問題、2007年の食品表示偽装事件などが発生し、消費者は食品の安全性に対してより敏感になりました。これに伴い、食品の安全性に関する法規制の整備も進められています。
  • 2009年7月から、スーパーマーケットを含む小売店では食品の原産地表示が義務化され、2001年4月には禁止農薬を使用していない農産物に「有機JASマーク」の表示が義務付けられました。さらに、2004年12月からは「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(牛肉トレーサビリティ法)」が施行されるなど、食品安全に関する法的規制が強化されています。
  • 開業後の経営改善を進める際には、賞味期限の管理状況や衛生管理の状態にも目を配ることが重要です。
    特にデパ地下などは、定期的に競合も入れ替わるため、常に競合商品との差別化に目を配ることも必要です。

少子高齢化社会における惣菜市場の将来性

  • 将来の展望を考えると、単身者世帯の増加や女性の社会進出の進展に伴い、少子高齢化が進む現代社会において、惣菜市場の拡大が期待されます。特に、カロリーや塩分を抑えた商品の開発や宅配サービスなど、高齢者向けの需要に応えることが重要になると考えられます。

小売業界の生存戦略:品揃えとサービスの革新

  • スーパーマーケット、百貨店、コンビニエンスストアなどは、生き残りをかけて売り場の拡張や品揃えの多様化、素材を厳選した商品の開発に力を入れています。
    惣菜売場では、食卓に並べる全てのものを揃えられるようにする工夫や、メニュー提案などの新しい取り組みも見られます。

健康志向と食品安全性への対応:消費者ニーズへの適応

  • 健康志向や食品の安全性への意識が高まる中で、消費者のニーズは多様化しています。これらのニーズに応えるためには、対面販売を生かした、きめ細かいサービスと、顧客とのコミュニケーションが重要です。

人材育成と専門知識:惣菜管理士資格の重要性

  • 日本惣菜協会が認定する「惣菜管理士」の資格を取得するなど、専門知識を持つ人材を育成することが、新たな顧客層の開拓と市場の成長につながるでしょう。

品質管理と衛生管理:信頼と安全性の確保

  • 食品を扱う事業では、食中毒などのトラブルは企業の信用を失う原因となるため、安全性を重視した品質管理が不可欠です。
    店内は常に清潔に保ち、衛生管理を徹底する必要があります。特に惣菜は、当日中に売り切ることが基本であり、ある程度の商品ロスは避けられないでしょう。

惣菜の定義とその広がり:多様な商品カテゴリー

  • 惣菜は本来、主食に合わせて食べるさまざまな料理、すなわち副食(おかず)ですが、広い意味ではサンドイッチのような調理パンや持ち帰り弁当も含まれます。
  • 惣菜の種類には多様な分類があります。そのため、惣菜屋を開業する際は、どこに強みを持つ店舗にするのか、という事業コンセプトが重要となります。
    • 揚げもの(とんかつ、唐揚げ、コロッケ、天ぷら、フライなど)
    • 焼きもの(焼き鳥、焼き魚、ステーキなど)
    • サラダ(ポテトサラダ、野菜サラダ、春雨サラダなど)
    • 和惣菜(肉じゃが、五目煮、煮豆、魚の煮付けなど)
    • 洋惣菜(ハンバーグ、ロールキャベツ、コールドビーフ、チキントマト煮など)
    • 中華惣菜(青椒肉絲、回鍋肉、シューマイ、ギョーザ、酢豚など)
    • 米飯類(白飯、赤飯、おにぎり、おこわ、チャーハン、炊き込みご飯など)
    • 弁当(幕の内弁当、のり弁当、中華弁当など)
    • 寿司(巻き寿司、いなり寿司、ちらし寿司、にぎり寿司など)
    • 調理パン類(サンドイッチ、コロッケパン、焼きそばパンなど)
    • 麺類(そば、うどん、パスタ、焼きそばなど)

強みと事業コンセプトを戦略的に決定

  • 販売形態に関しては様々ありますが、惣菜店は駅周辺や商店街の一角、住宅地付近などで営業していることが多いです。
    パッケージ化、量り売り、バイキング形式など、持ち帰りやすい販売方法が多様化しています。
  • 営業時間は一般的に朝7時から夜8時頃までですが、深夜まで営業する店や24時間営業する店もあり、最近ではインターネットでの惣菜販売も行われています。

仕入れ戦略とフランチャイズシステムの活用

  • 一般的な惣菜屋さんは、卸売市場や近隣のスーパーマーケットなどで毎日材料を現金払いで仕入れます。フランチャイズチェーン店では、本部が仕入れから在庫管理まで計画的・効率的に行い、仕入れ代金の支払いは翌月払いになることが多いです。

鮮度と品質の維持:惣菜製造の課題

  • 製造工程に関わらず、惣菜の鮮度さは時間が経つにつれて失われ、その結果、味が落ちることが避けられません。
    このため、長期保存や長距離輸送が困難であり、大量生産には不向きです。
    その結果、多くの業者は小規模で製造と小売を専門にしています。

資金調達と運転資金管理:惣菜ビジネスの財務戦略

  • 惣菜屋ビジネスは現金決済が基本であるため、在庫を多く抱える必要性が低く、運転資金の調達は高頻度では必要ありません。
    しかし、新規開業の際や、開業後に設備を入れ替える際には資金調達をする必要があります。
  • 開業する前に資金が必要になるのは当たり前ですが、開業後も調理設備の更新、店舗のイメージ向上、衛生管理の強化のために、まとまった資金が必要となります。
    しかし、営業キャッシュフローが豊富な場合、無理な借入れをせずに設備投資を行うこともできます。

小資本で開業できる

  • 百貨店やスーパーマーケット内に店舗を出店するケースも多く、その場合は、店舗を構えるよりは低い開業資金で済むケースも多いです。

惣菜業界の経済環境:売上とコストのバランス

  • 惣菜屋業界は他の飲食料品小売業に比べて高い売上総利益率を誇ります。
    しかし、原材料費の増加や販売価格の上昇などが原因で、粗利益率が低下するリスクも持っています。

生産性向上とコスト削減の取り組み

  • 収益性を改善する際の生産性の向上の為には、業務工程を一部機械化することや省エネ化をすることが効果的です。
  • 人員の効率的な配置や、適切な仕入れ、売れ行きに応じた迅速な販売なども重要です。需要量の把握には、天候や曜日、イベントの有無などが影響します。
    商品の鮮度が落ちる前に売り切ることや、商品ロスを最小限に抑える努力も欠かせません。

フランチャイズチェーンのロス削減戦略

  • フランチャイズチェーン店の場合、開業後数か月が経過すると、調理技術の未熟さに起因するロスは減少します。
    さらに、売れ残りが多い商品を取り扱わないことで商品ロス率を2%以下に抑えることもでき、加盟店間での差異を最小限にするための指導が行われています。
    ただし、食品ロス率が著しく低いと、本来売れていたはずの商品が売れていないだけであるという見方もできるため、経営者の実力次第では、大きく事業を伸ばせるポイントにもなり得ます。

財務の安定性とキャッシュフロー管理

  • 一般的に、流動比率と当座比率は安全性を示す指標であり、これらが100%を超えていることは財務の安定性を意味します。
    惣菜屋の経営では、現金取引が主であるため、一般的に安全性は高く、売上高の減少や粗利益率の低下がなければ資金繰りに問題は生じません。
    ただし、開業時や改装時に過度な資金調達を行った事業所は、資金繰りで苦労していることが多いです。固定比率が高く、自己資本比率が低い事業所も多いため、注意が必要です。
  • 営業収入が安定していれば、キャッシュフローに大きな問題はないと考えられます。
    しかし、新規開業や店舗改装などの設備投資により、フリーキャッシュフローが減少するリスクがあり、その場合はフリーキャッシュフローの不足分を計画的に補う必要があります。

収益性と販管費の最適化

  • 惣菜屋は、売上総利益率は比較的高いものの、販管費も同様に高いため、最終的な収益性は必ずしも高くないのが特徴です。
    収益向上には、食材へのこだわりや高付加価値商品の開発を通じて売上を増やすと共に、コストや商品ロスの削減に努めることが重要です。
    店舗改装は老朽化対策だけでなく、メニュー変更に伴うイメージチェンジのためにも行われ、資金需要のタイミングを見逃さないことが必要です。

信用力とフランチャイズ加盟のメリット

  • 開業後に業績が振るわない場合、競争が激しい状況を考慮し、店舗改装による個性的な店作りにすることが重要です。
  • 大型商業施設などに新規開業をする場合は、信用力に劣る個人では取引が難しい場合があるため、信用力が高いフランチャイズチェーンに加盟して、本部の力を借りることも賢い選択肢です。
  • 開業後、経営者は現場に立たなくても良くなっていくものの、当然遊んでいる暇はありません。
    常に競合店舗の顧客の出入りや、店の維持管理状況を観察し、季節に合わせたメニューや品揃えの変化を把握することが必要です。

市場分析と差別化戦略の重要性

  • 新規開業をする際は、立地条件や競合状況を入念に調査する必要があります。
    デパ地下などの競合が多い場所に出店する場合は、既存店との差別化(価格、品揃えなど)や独自色(健康志向、高齢者向けなど)をどのように打ち出すかを明確にする必要があります。
    これらの方向性が明確でなければ、長期的な事業運営は困難と言わざるを得ません。

開業資金の資金調達の選択肢

  • フランチャイズチェーンに加盟する場合は、本部が提携銀行のローンを用意していることがあります。
    これは返済期間が短く、金利がやや高めであることが一般的です。
    備品については本部からリースされる場合もあります。
  • 惣菜屋を開業する際には、日本政策金融公庫の融資制度を利用できます。金利も低いため、積極的に活用を進める企業が多いです。

食品衛生法と事業運営の法規制

  • 惣菜屋を開業する際には、様々な関連法や規制が存在しています。
    • 食品衛生法は、厚生労働省と消費者庁が監督する法律で、食品由来の衛生上の危害を防ぎ、健康保護を目的としています。
      この法律は食品や添加物、器具、容器包装の規格、表示、検査などの原則を定めており、2003年5月に食品の安全性確保を強化するために大幅に改正されました。
    • 食品安全基本法は、内閣府が監督し、2003年に制定された法律です。この法律は食品の安全性確保に関する施策を総合的に推進することを目的としています。
    • 農林物資の規格化等に関する法律(JAS法)は、農林水産省が監督し、2015年4月に法律名が変更された(旧名称は農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)。
  • 本記事の内容は調査時点のもので、独自調査による推測の情報を含んでおります。数値等の情報を含め保証されるものではありません。
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