「トラック運送業」の独立開業で儲かる極意。成功と失敗のポイントも解説。

目次

「トラック運送業」の開業が儲かるメリット・失敗すると儲からないポイント

貨物輸送サービス業の概要

  • 貨物輸送サービス業とは、顧客から依頼された荷物を報酬を得て、自動車を駆使して所定の場所へ運ぶ業務です。自分自身の商品を運ぶための私用トラック(白色のナンバープレートを持つ)と、他人の商品を運搬する商用トラック(緑色のナンバープレートを持つ。軽自動車は黒色)の二つが存在します。

貨物輸送の各事業形態の特徴

  • 一般貨物自動車運送業については、不特定多数の荷物を有料で運ぶ事業であり、通常は大量の荷物を1社から受け取り、一括して運ぶケースが多いですが、複数の荷主からの荷物を組み合わせることも可能です。運送方法は直送が基本で、業務を開始するには国土交通省や地方運輸局からの許可を受け、少なくとも5台のトラックを保有している必要があります。
  • 特定の組み合わせによる貨物輸送事業では、様々なお客様から寄せられた荷物を集め、定められたターミナル間で周期的に運ぶ作業を指します。この種のサービスは、普遍的な貨物輸送サービスの一環として捉えられ、通常は貨物輸送業を営む企業が、特定の組み合わせでの輸送に関する計画を提出し、それに基づいて認可を受けた上で実施されます。
  • また、特定の顧客に特化して荷物を運ぶ「特定貨物自動車運送事業」は、許可が必要な業務であり、基本的には一つの企業が一つの顧客を持つ形式です。このサービスは、顧客の内部輸送手段の一つとして位置づけられることもあります。
  • さらに、「貨物軽自動車運送事業」では、軽自動車やバイクを使用して貨物を運ぶことが特徴です。この業界でよく知られているのは「赤帽」で、多くが個人で運営するオーナードライバーが協同組合に加わる形態を取っています。特に大都市圏では、書類配送などを主に行うバイク便サービスもこのカテゴリーに含まれます。

制度融資と業界支援の取り組み

  • トラック業界に特化した商工中金の制度融資の一環として、トラックの近代化を促進するための利子補給付き融資プログラムなどが提供されています。

開業と資金調達のプロセス

  • トラック運送業界では、定期的に車両の更新が必要であり、多くの場合、借入やリースによって賄われています。可能な限り借入れの割合を低く保つための戦が必要となります。
  • 総合的な物流サービスを荷主に提案し、一括での受注を目指す動きが増えています。倉庫の建設には相当な投資が必要ですが、これにより長期的に安定した受注を見込むことができます。この際、業界のトレンドや将来の受注予測を深く理解することが必要です。
  • トラック運送事業を開業する際には、国土交通省の許可が必要となります。具体的には、営業所のある地域の運輸支局に許可申請を提出し、審査を受けます。通常、申請から許可が下りるまでには約3~4ヶ月要します。
  • 資金調達を行う際は、メインバンクのサポート体制などを見極め、信用保証協会などの保証オプションも含めて慎重に進める必要があります。
  • 燃料価格の上昇が深刻化し、多くの事業が赤字から抜け出せずに後継者不足にも悩まされています。事業の持続可能性を考慮する場合、血縁関係に限らず優秀な人材を確保する、あるいはM&Aによる企業の売却なども選択肢として検討する必要があります。

市場の特徴と経済的影響

  • 「トラック運送業」の市場の特徴としては、以下の点が挙げられます。
    • 新規参入が比較的容易なため、中小や小規模の企業が多数を占めています。
    • 労働集約型の業種であり、運賃が低めに設定されているため、全体としての収益性は低めです。
    • 過積載や長時間労働、運賃の不当な低下など、輸送秩序を乱す問題が発生しやすい傾向にあります。
  • 国内物流業界全体の市場規模は約25兆円とされており、その中でトラック輸送業界が約15兆円を占め、業界全体の60%を担っています。

法改正による業界の変化と規制緩和

  • 1990年の法改正により、運賃の規制が緩和され、許可制から届出制へと移行しました。そして、2003年の更なる法改正で届出制度自体が廃止され、運賃や料金の設定、変更時には30日以内の届出が必要とされるようになりました。貸切運送では、一回ごとの輸送に基づいた運賃制度が設けられており、積合せ運送では荷物の重量や輸送距離に応じた運賃制度があります。一方で、物流全般を担当する場合には、一括して運送料を受け取ることもあります。

事業者数と運輸量の動向

  • 貨物運送業者数は、一般・特積が57,172業者(その中の特別積み合わせ業者は291)、その他(特定・霊柩)が5,104業者で、合計で62,276業者に上り、前年比で100業者の増加が見られました。
  • 2016年度の日本国内における貨物の総輸送量は約48億トンに達し、輸送効率を示すトンキロで見ると、約4130億トンキロを記録しています。この数字は、建設資材などの重い物資の運搬が減少した結果、2005年度の54億トンから約12%の減少を見せています。しかし、トンキロに関しては、インターネット販売の増加などにより、2016年には再び増加傾向に転じました。
  • 車両数に着目した事業者の内訳を見ると、20両以下の車両を保有する事業者が全体の約77.1%を占めており、小規模な運送業者が業界の大部分を形成しています。一方で、従業員数に関しては、10人以下の小規模事業者が全体の約49.0%をしめ、中小規模の運送業が多数を占めることが確認されています。

地域別の業者分布と運賃の特性

  • 地域別に見ると、運輸支局の区分けにおいて関東地域の事業者数が最も多く、その後を近畿、中部、九州が続いています。この地域別の分布は、経済活動の多い地域に運送業者が集中する傾向を示しています。

業界構造と中小企業の役割

  • 運賃については、荷主の影響力が強く、運送業者がコストを加味した運賃を設定しても、最終的には荷主の予算や地域の市場価格に左右される状況です。このため、運送業界は経費の増加を適切に反映させることが難しい状況にあります。
  • 運送業界には、資本金3億円以下、従業員300人以下の中小企業が99%以上を占め、10両以下の車両を持つ事業者も56.0%に上ります。これらの事業者は一般に資源が限られており、大企業や下請け業者への依存度が高い状況です。業界内には、数百両の車両を持つ大手物流業者から、従業員や車両がわずかな家族経営の運送業者まで、大きな格差が存在します。企業の規模や経営改善への取り組みの差異により、業界の課題は多岐にわたり、一様な解決策はない困難な状況ですが、以下の点が特に注目される主要課題となっています。

物流革新とIT導入の重要性

  • 物流業界において、企業は多様な物流革新への対応を迫られています。特に、物流部門を外部に委託する動きが加速しているため、運送会社はサードパーティ・ロジスティクス(3PL)の機能を充分に発揮する必要があります。これには、物流の要求が高度化、多様化する中で対応力を持つための経営の知識が不可欠です。
  • 一方、物流の効率化のため、多くの企業がITシステムや関連機器の導入に力を入れています。その一環として、求荷求車情報を共有する「WebKIT」ネットワークの使用が広がっています。これにより、空車を減らし、運行管理や物流センターの在庫管理などの経営効率を向上させることが可能になります。

安全運転の重要性とコンプライアンス

  • トラック運送業者にとっては、公共の道路を使用する以上、「安全運転」が最重要の課題です。企業は飲酒運転の撲滅や過労運転の防止など、さまざまなコンプライアンスの実施に励む必要があります。これらの取り組みを怠ると、重大な事故に繋がり、結果として企業の存続自体を危うくすることにもなりかねません。

業界の分類と特徴

  • この業界は、主に以下の三つのカテゴリーに分けられます。
    • 一般貨物自動車輸送業務(一般または特別な貨物を扱う)
    • 特定の貨物を扱う自動車輸送業務
    • 貨物輸送を行う軽自動車業務

資金調達の必要性と設備投資の概要

  • 資金の必要性については、通常の運転資金に関しては、他の業界と比較して在庫が少なく、売掛金の回収期間と仕入れ債務の支払期間の差が小さいため、それほど大きくありません。
    しかし、従業員数が多い企業では、賞与のための資金需要が高まります。中規模以上の企業では、毎期利益を計上している場合、決算資金のために借り入れを行うこともあります。
  • 設備投資に関する資金調達の要件は、多岐にわたります。一例として、新たな車両の購入や既存トラックの更新時に資金が必要になります。これらの資金の返済期間は、通常、車両の法的な耐用期間内で設定され、5年間または3年間の期間が一般的です。また、物流倉庫の建設にも相応の資金が求められ、その規模や必要性に応じて融資を受けるケースが多いです。ここでは、借入条件の柔軟性や返済能力など、さまざまな要素が検討されます。
  • 倉庫運営企業では、作業の効率化を目的とした設備、例えばフォークリフトや自動化された仕分け機などの導入にも資金が必要です。さらに、情報技術の進化に伴い、注文管理や在庫管理、貨物追跡などのシステム更新にも投資が求められています。
  • 環境意識の高まりとともに、公害影響の少ないで燃料で動く車両への更新も重要なテーマとなっています。天然ガスやハイブリッド車への切り替えには、別途資金が必要となります。

経営指標と生産性の重要性

  • 企業の財務状態や収益性を把握するためには、総資本経常利益率や営業収益経常利益率などの指標が参考にされます。特に車両関連の投資は減価償却の影響を大きく受けるため、収益性が低下しがちです。実質利益の分析には、減価償却費を含めた詳細な検討が必要です。
  • 生産性の面では、従業員一人あたりの付加価値や、保有車両の効率的な運用が重要な指標となります。人件費の割合が大きい業界特性を踏まえ、適切な人員配置と車両管理が企業の成績に大きく影響します。
  • 開業後、安定した荷主の獲得が収益拡大のために不可欠です。営業の効果は、自社のコスト構造を正確に理解し、適切な価格設定で運賃を提示できるかにかかっています。ここで重要なのは、IT技術を駆使した輸送システムの導入により、経営効率をどれだけ高められるかです。

貨物輸送業界の歴史と発展

  • 業界の歴史と発展を振り返ると、制度的なスタートとしては1951年に運輸省が「道路運送法」を施行した時までさかのぼります。この時期にトラック輸送業は、「路線トラック」と「区域トラック」という二つの区分に分かれました。
  • その後、いくつかの法改正が行われ、1990年の「物流二法」の施行が業界にとって大きな転換点となりました。この二つの法律により、市場への新規参入が促進され、2003年には営業地域の撤廃や運賃の事前届出制の廃止などもあり、競争はさらに激化しました。

労働環境改善と安全運輸の法規制

  • トラック輸送業界においては、1990年に「貨物自動車運送事業法」と「貨物運送取扱事業法」(総称して「物流二法」と呼ばれる)が施行され、業界の規制緩和の一歩が踏み出されました。これにより、「貨物自動車運送事業法」における新規事業者の市場参入が免許から許可へと変わり、運賃設定も認可から届出制へと移行しました。また、「貨物運送取扱事業法」は、トラックを持たない事業者が他社の運送能力を活用して貨物を運ぶ「貨物利用運送事業」と、荷主と運送業者間の契約を取り次ぐ「運送取次事業」(通称「フォワーダー」)を正式に認めました。
  • 2003年の改正では、営業範囲の撤廃、運賃の事後報告制への変更、事業を開始するために必要な車両数の基準緩和など、さらなる規制の緩和が行われました(「貨物運送取扱事業法」は「貨物利用運送事業法」へと名称変更されました)。
  • 2018年には「貨物自動車運送事業法」の改正が施行されました。これは、働き方改革法に伴い、2024年度から適用される時間外労働の上限設定など、物流業界の基盤となるドライバーの労働環境改善が求められたためです。この改正では、規制の合理化、事業者が守るべきルールの明確化、荷主への対策強化、及び標準運賃の告示制度(2023年度末までの暫定措置)が盛り込まれました。
  • 安全運輸に関しては、「貨物自動車運送事業輸送安全規則」があり、2017年7月からは、車両の総重量が8トン以上または最大積載量が5トン以上のトラックの運転手が30分以上の荷待ちをした場合、これを乗務記録に記載することが義務付けられました。2018年6月には、ドライバーの睡眠不足に起因する事故を防ぐための対策が強化されました。
  • 本記事の内容は調査時点のもので、独自調査による推測の情報を含んでおります。数値等の情報を含め保証されるものではありません。
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