「高速バス事業」の独立開業で儲かる極意。成功と失敗のポイントも解説。

目次

「高速バス事業」の開業が儲かるメリット・失敗すると儲からないポイント

高速バス事業の定義と範囲

  • 「高速バス事業」とは、2つの特定地点間を高速道路を使ってバスで結ぶ移動サービスを提供する事業のことです。例えば、東京新宿から大阪梅田へのバス便や、東名高速道路を経由するバス便などがこれに含まれます。ただし、スキーバスや宿泊施設、テーマパークのチケットがセットになったサービスはこの定義から外れます。この事業は、法律(道路運送法)上、一般の乗合旅客自動車運送事業、すなわち乗合バスの一部とされています。

開業資金の確保と公的支援の活用

  • 開業資金を確保するための制度融資に関しては、「運輸事業振興助成交付金制度」などの公的支援策が存在します。これにより、輸送力の確保や輸送コストの抑制を目的としたバス事業者向けの融資が提供されます。日本バス協会を通じた融資あっせんや利子補給制度は、特にバス車両の購入やその他の必要資金に対する金融支援を提供し、事業者が必要な投資を行いやすくすることを目的としています。
  • 利子補給率や融資条件は、取扱金融機関によって異なる場合がありますが、これらの支援策は、特に新規投資や事業の拡大を検討している事業者にとって有益です。

業界の歴史と成長期

  • 業界の特徴を掴むためには、その歴史や制度の変化を知ることが重要です。1964年(昭和39年)頃から、国鉄バスなどによって高速道路を走るバスが登場し始めましたが、長い間市場は小さかったです。高速バス事業の成長期は、1970年代後半に始まりました。この時期、地元で路線バスを運営する業者たちが、拡大する高速道路ネットワークをビジネスチャンスと捉え、高速乗合バス事業に新規参入しました。主に地方から大都市へのルートを開拓し、全国の地方都市への路線網を広げていきました。この動きは、地方の路線バス市場が縮小していた背景も影響しています。

開業に関連する法律

  • 開業する際の関連法規制については、高速バス事業が道路運送法の下で一般乗合旅客自動車運送事業の一部として位置付けられていることを理解することが重要です。これにより、事業者は法的要件を遵守し、適切な運営を保証する責任があります。

運転士確保と労働環境の改善

  • 業界で最も大きな課題は、運転士の不足です。運転士の健康と運営の安全性を最優先に考える中で、激化する競争の中でどのように運転士を確保し、無理のない運営を行うかが問われています。2016年1月の軽井沢スキーバス転落事故では、運転士不足や労働環境の悪化、企業側の運営不備が原因の一つとして指摘されています。関係者は、制度を守り、安全に十分な配慮を払うことが求められています。

規制緩和による事業拡大と競争の激化

  • 2004年(平成16年)頃には、次の成長期が訪れます。この時期は、「高速ツアーバス」の登場が特徴です。これは、バス事業の規制緩和により、新規参入企業が増えたことが背景にあります。高速ツアーバスでは、旅行会社が2地点間の移動サービスを企画し、実際の運行は貸切バス業者に委託されます。バス停がないなどの違いはありますが、実質的には高速乗合バスと同じサービスを提供し、特に大都市間の路線が急速に成長しました。結果として、同じ路線区間で複数の業者が競合する状況が生まれました。

独自性を打ち出す差別化戦略の重要性

  • 乗合バスの運行として設定便の走行義務が存在する中で、柔軟な価格設定が可能になり、空席を減らす目的での価格競争が生じました。制度の移行期間には、高速ツアーバスから高速乗合バスへの利用者の移動が一時的に見られましたが、その後は価格を武器に顧客を奪い合う動きが強まりました輸送人員は増加して市場は拡大していますが、新規参入する事業者も増え、特に東京を中心とした人気のある路線では、高速バス業者間の競争がより一層激化しました。地方路線では、LCCの増便が更なる競争要因となりつつあります。
  • 例えばゆったりとした大型シートの提供などによる差別化は、従来ほどの魅力を失いつつあります。一方で、訪日旅行者の増加やバブル時代を経験していない実用的な若者層の利用が増えており、コストパフォーマンスを重視した4列シートの選択が見直されています。
  • 事業者にとっては、安全対策の維持と向上が欠かせません。IoTを活用した運転士の居眠り防止システムの導入などが始まっています。また、顧客にとって使いやすい予約システムは顧客の囲い込みにつながり、システムの良し悪しが乗客獲得に影響を与え始めています。この点について、各社の取り組みを見守りたいところです。

安全性と透明性の向上による事業環境の改善

  • 「高速乗合バス」と「高速ツアーバス」の2つの形態が共存することとなり、参入企業の増加と共に競争は激化しました。その結果、貸切バス業者は採算を確保するために運転士の稼働率向上を図りましたが、これが運転士の過労問題や高速バスの事故に繋がる事態も発生しました。
  • 国が事態の深刻さを認識し、2013年7月末から高速バスに関わる制度を「新高速乗合バス」制度へと統合しました。この一本化により、高速バス業界の枠組みが整理され、さらに透明性と安全性の向上が期待されています。

業界拡大のチャンスと市場ポテンシャル

  • 不採算路線の見直しや、訪日旅行者に人気の路線の増便、新幹線の延長に伴うバス路線の新設など、業界の拡大に向けた機会もまだ多く存在します。2016年4月のバスタ新宿の開業は、高速バスの大規模なターミナルを築き、乗客を高速バスへ誘導する効果があったと見られています。

市場拡大を後押しする利用者数の増加

  • 2012年度から高速バスによる輸送人員は増加の一途をたどり、2015年度には1億1,574万人に達しました。この増加は主に、日本を訪れる旅行者の数の増加や高速ツアーバス利用者の数が統計に反映され始めたことによるものです。特に、新高速乗合バス制度が導入される前は、高速ツアーバスの利用者数は国土交通省の統計に含まれておらず、2010年度には約600万人と推定されていました。

不採算路線の見直しと新路線開発のバランス

  • 開業後は、不採算路線の継続について慎重な検討が必要です。これは、事業の全体的な収益性に影響を与える可能性があるためです。事業者は、不採算路線を見直し、より利益をもたらす可能性のある新しい路線への投資を検討するべきです。
  • 開業後は高速バス事業の収益性や各路線の損益状況を詳しく把握することが重要です。この情報は、新設路線の可能性を探る際や、将来の事業展開方針を策定する際に役立ちます。また、バス車両の新規購入や営業所、駐車場などの設備投資に対応するための戦略も必要です。

新規参入事業者による事業機会の拡大

  • 事業者数の面では、高速バスの運営会社(新高速乗合バス事業者)も増加しており、2015年度には387社に達しました。2013年度には前年比で54社増の365社となり、これは新高速乗合バス制度の開始に伴う高速ツアーバスからの移行(新規登録)が主な理由です。さらに、2015年度には前年比で22社増えた387社となり、これは日本を訪れる旅行者の増加に対応しようとする新規参入事業者によるものです。団体旅行から個人旅行へのシフトと共に、観光バスから高速バスへの移動手段の変化が見られます。
  • しかし、輸送人員の増加率を上回る事業者数の増加により、1社あたりの輸送人員は減少しています。主要な運営会社としては、ウイラーエクスプレス、みちのリホールディングス、平成エンタープライズ、ジェイアールバス東北、ジェイアール四国バス、西日本ジェイアールバス、両備ホールディングス、富士急行、阪急バス、近鉄バスなどが挙げられます。

需要の変動に対応する柔軟なサービス提供

  • 高速バスの需要は、長距離移動の主要な手段として、季節や週の曜日によって大きく変動します。年間を通じては、帰省や休暇を利用した旅行で需要が増える年末年始、ゴールデンウィーク、お盆の時期がピークです。週単位では、単身赴任者の帰省や週末のレジャーを目的とした移動が多く、特に金曜日の夜や日曜日の夜に需要が集中します。
  • 高速バスの利用者は多岐にわたり、学生からビジネスパーソン、さらには主婦層まで広がっています。大都市間を結ぶ路線においては、かつて高速ツアーバスの業者も多く参入しており、バス業界内での競争が非常に激しい状態です。さらに、新幹線やLCC(格安航空会社)など、他の交通手段との競争も高速バスの需要に大きく影響しています。これらの代替手段の存在を意識し、対応する必要があります。

安全対策と顧客サービスの革新

  • 2004年頃から存在していた「高速乗合バス」と「高速ツアーバス」の二つのサービス形態には、それぞれ特色があります。従来の乗合バス事業者は国の規制のもとで運営されている一方で、高速ツアーバス事業者は経営において比較的自由度が高かったのです。旅行会社は高速ツアーバスの企画において、柔軟な増便や価格競争を通じて顧客層を広げ、貸切バス事業者に対しては有利な条件での契約を求めました。しかし、これが貸切バス事業者に過酷な条件を強い、運転士の過労や高速バス事故の一因となりました。
  • 国はこのような事態を受けて、2013年7月末に高速バス関連の制度を「新高速乗合バス」制度に一本化しました。この新制度は、高速乗合バスの安全性を基盤としながら、高速ツアーバスの柔軟な価格設定などの利点を取り入れたものです。新制度への移行は、高速ツアーバス事業者にとって多くの変化をもたらしました。乗合バス事業者としての許可の取得、バス車両の保有、バス停の設置など、多大な努力が求められるようになりました。また、貸切バス事業者にも、安全面での基準強化が求められました。
  • 制度の変更は高速バス業界の安全性を高めることに貢献しましたが、同時に業界内の競争は一層激化しました。このように、高速バス業界は多くの変遷を経て、現在に至っています。

安全と責任: 顧客信頼の向上に貢献

  • 新高速乗合バス事業者と顧客との間の契約は、道路運送法に基づいた乗合運送契約で、顧客の安全を確保する責任は新高速乗合バス事業者が負います。これにより、以前の高速ツアーバスで問題視されていた責任の所在が不明確な点が解消されました。

サービス品質の保証: 共同運行による相互益

  • 運行される車両は、自社便に限らず、貸切バス事業者にも一部委託することができますが、その割合は原則として2分の1以内に制限されています。貸切バス事業者との契約には、国土交通大臣の許可が必要です。
  • 従来の高速乗合バス事業者は、バス停を設置し、他社との共同運行を基本としています。各社は地元の駅前ターミナルなどを利用し、お互いの車両を運行させ、乗客に対する責任を持ちます。
  • 新制度により、高速バス事業者はすべて乗合バス事業者となるため、高速ツアーバスから移行した事業者もバス停の設置が義務付けられました。

事業多角化: 高速バス事業の戦略的位置づけ

  • 高速バス事業を展開する事業者は、多くの場合、路線バス事業など他の事業も手掛けています。このような兼業の状況で重要となるのは、以下の点です。
    • 全体の事業構造を理解すること
      高速バス事業以外にどのような事業を展開しているか、高速バス事業が企業においてどの程度の位置を占めているか、他の事業との連携はどのようになっているかなどを把握することが大切です。
    • 事業部門別の損益と財務状況を知ること
      各事業部門の損益やキャッシュフロー、資産負債の状況を理解することが重要です。特に、高速バス事業は車両投資などの負担が大きいため、投資に見合った収益やキャッシュフローが得られているかを確認する必要があります。

財務分析と損益管理: 事業部門の効率性評価

  • 高速バス事業の概要を詳しく理解するためには、運行されている路線の把握が不可欠です。また、それぞれの路線における収益性や損益状況についても、詳細な分析が求められます。貸切バス事業者への委託が行われている場合には、その事業者の規模や業務の質にも注意を向ける必要があります。
  • 乗合バス事業者は高速バス事業に関連する売上の大部分を現金で回収するため、日常的な運転資金の調達の必要性は比較的小さいですが、新しいバスの購入やその他の設備投資に対する資金需要は存在します。対照的に、高速バスの運行を受託している貸切バス事業者は、乗合バス事業者からの売上回収までに時間がかかるため、運転資金の調達が生じやすくなります。彼らもまた、バスの購入などの設備投資に資金を必要とします。

資金管理と投資: 財務健全性の確保

  • 乗合バス事業者では、高速バス事業に関連する部門ごとの損益や収益性の検証が重要です。さらに、他の事業部門の損益状況もチェックし、全体の財務状況や収益の安定性を評価することが求められます。財務内容の中では、バス車両や営業所、駐車場などの有形固定資産の状況を把握し、必要に応じて再投資の規模を考慮しながら、これらの資産に対する有利子負債の返済能力を随時管理することが大切です。また、貸切バス事業者の場合には、売掛金の状況や回収状況についても注意深くチェックする必要があります。

統合と効率化: 新高速乗合バス事業の展開

  • 新制度のもとで、以前の乗合バス事業者と高速ツアーバスの旅行業者が、新たに設立された高速乗合バス事業者に一体化されました。
    高速ツアーバスを運営していた貸切バス事業者は、新設された高速乗合バス事業者から運行を委託される形に変わりました。

持続可能性と成長: 長期的ビジョンの実現

  • 価格競争の激化や人手不足などの厳しいビジネス環境の中で、新規路線の開発や運転士の確保、健康と安全に配慮した効率的なオペレーションを通じて、いかに収益を向上させるかが鍵となります。効果的な戦略と実行計画を立て、事業の持続可能性と成長を確保することが事業者にとっての大きな課題です。
  • 本記事の内容は調査時点のもので、独自調査による推測の情報を含んでおります。数値等の情報を含め保証されるものではありません。
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