「倉庫」の独立開業で儲かる極意。成功と失敗のポイントも解説。

目次

「倉庫」の開業が儲かるメリット・失敗すると儲からないポイント

倉庫業の固定費負担と生産性向上の重要性

  • 倉庫業は装置産業の特性を持ち、固定費の負担が大きいため、生産性の向上を目的とした投資は極めて重要です。投資による生産性向上は、人員削減数やコスト削減額など定量的な指標で評価されるべきです。また、投資に対する返済能力は、該当する倉庫が生み出すキャッシュフローによって債務が返済可能かどうかで検証されます。倉庫業では不動産が主な資産であるため、他の産業と比べて担保能力が高いと言えます。

荷主ニーズへの対応と事業拡大戦略

  • 荷主に対しては、保管業務だけでなく、そのニーズに合わせた幅広い物流機能の提供を通じて事業の拡大や収益向上を図る必要があります。倉庫内での生産性向上も、固定費が重い装置産業の特徴を考慮すると、特に重要な取り組みとなります。荷役業務を中心に作業の標準化や省人化、省力化への取り組み、先進的な設備やシステムへの投資が効果的です。

倉庫業務の基本的な流れと役割

  • 倉庫業務の流れは、検品から入庫、保管、出庫準備(流通加工、ピッキング、仕分けなど)、そして出庫までが含まれ、これらが倉庫業者の主要な役割を形成しています。

倉庫業市場の成長動向と投資機会

  • 市場規模に関して、経済産業省の「サービス産業動向調査年報」によると、倉庫業の売上は前年比で7.2%増の約3,282億円、従事者数は5.4%増の約20.6万人となり、市場は拡大しています。普通倉庫についてのデータでは、運営する事業者数が5,068、1~3類倉庫の面積が約47,746千平方メートルであり、過去10年間で事業者数と面積が増加しています。これは、物流需要の増加、倉庫業法の改正による規制緩和、賃貸物流施設の増加などが背景にあると考えられます。

普通倉庫の役割と日本経済への貢献

  • 普通倉庫は、日本の各地、特に海岸線や内陸の主要交通ノードに広がっています。これらの倉庫では、入庫量と頻繁な出入庫作業による商品の早い回転を目指しています。2014年以降、入庫量は減少傾向にありますが、平均在庫量は逆に増加しており、結果として年間の回転率がわずかに低下しています。2016年には、過去7年で初めて年間回転率が6回を下回りました。これは、倉庫業の業績にとって、在庫量の増加は利益につながるものの、回転率の低下は問題点として浮上しています。

倉庫業の労働関連費用と固定費の経営上の影響

  • 費用面では、人件費や請負費、派遣費などの労働関連費用が総費用の半分以上を占め、その比率は過去10年で最も高い水準です。また、減価償却費や賃借料など、設備に関わる固定費も全費用の約2割を占めており、特に自社で倉庫を保有している場合は、償却費の比率がさらに高くなることが推測されます。倉庫業が固定費負担が大きい装置産業の特徴を持つことを考慮すると、固定費の削減への取り組みが重要な経営課題の一つとなります。

開業にあたり、知っておくべき法律

  • 規制緩和や道路網の整備などにより、倉庫業界への新規参入メリットが大きくなることもあります。
    倉庫業法による運用の適正化と倉庫証券の円滑な流通を目的としている点、倉庫業法の改正点などを深く理解することが重要です。
    倉庫業法では営業の届出制、料金の事後届出制、倉庫証券の発行許可制の3点が主要なポイントとされています。
  • 倉庫ビジネスを新規開業する際は、様々な助成措置が利用可能です。所得税や法人税に関する措置には、倉庫用建物の割増償却、特定資産の買替差益に対する課税の特例、中小企業者の機械等の特別償却や税額控除などがあります。さらに、中小企業者が集団化移転のために取得する土地の登録免許税の軽減や、事業協同組合等の留保取得の特別控除が支援されています。
  • 地方税に関しては、固定資産税や都市計画税の課税標準の特例、特別土地保有税の非課税、事業所税の非課税や課税標準の特例などが提供されており、これらの助成措置を活用することで、新規参入や事業拡大の際の負担を軽減できる可能性があります。
  • このように、新規取引先の開拓にあたっては、業界の法規制や利用可能な助成措置を理解し、これらを戦略的に活用することが事業展開や収益向上につながります。

倉庫業界の規制緩和と運営の柔軟性向上

  • 2018年6月には、倉庫業法施行規則などが改正され、倉庫業者がより柔軟に施設を運営できるよう、変更登録の手続きが簡素化されました。これにより、法的な環境も変化しています。

eコマースの影響と荷主ニーズの多様化への対応

  • 荷主のニーズの多様化も重要な課題です。eコマース市場の拡大に伴い、小売業界では特に、頻繁で小規模な配送の需要が急増しています。また、キャッシュフロー管理の重要性の高まりとともに、在庫削減や物流経路の最適化が求められています。これに応えるためには、物流業務を包括的に受託する3PL事業のようなサービスが拡大しており、倉庫業者には物流システムの全面的な改善やコスト削減の提案が求められています。

生産性向上と人手不足問題への技術的解決策

  • 生産性の向上への取り組みも重要な課題です。保管スペースの限界や荷主企業の強い価格交渉力により、収益向上のためのトップラインの拡大には限界があります。また、人手不足の問題が深刻化しているため、生産性を高めるための設備やシステムの改善が急務となっています。

施設の老朽化と更新への対応戦略

  • 施設の老朽化に対応することも大きな課題です。多くの倉庫が法定耐用年数を超えており、特に東京都市圏では半数以上の物流施設が築30年以上の倉庫であることが国土交通省の調査で明らかになっています。これらの施設の更新や改修は、業界全体にとって重要な取り組みとなります。

倉庫業の将来展望

  • 倉庫業界の将来を見据えると、市場は中期的に安定した推移を見せると予想されますが、競争が激化する中で、顧客ニーズへの応答力とコスト削減を通じた収益構造の強化がますます求められるでしょう。

全面的な物流サポートと3PL事業の機会

  • 荷主のニーズが多様化する中で、包括的な対応能力が重要になります。単に商品を保管するだけでは差別化が難しく、業界の成長は望めません。荷主の要求が高度化・複雑化する中、物流全体の効率化を支援するコンサルティング業務の役割が増しています。3PL事業においても、倉庫業者が荷主の物流システム全体を総合的にサポートする体制を整えれば、大きなビジネスチャンスとなり得ます。特に中小規模の事業者には、地元の既存の荷主との関係を深め、細やかなサービスを提供することが重要です。

技術革新による倉庫内生産性の向上

  • 倉庫業界では、今後ますます生産性の向上への取り組みが加速されるでしょう。収益性の向上、人手不足への対応、高品質なサービスの提供を目指し、倉庫内の生産性を高めるための設備やシステムへの投資が増えると予想されます。ロボット、ドローン、無人搬送車(AGV)、パワーアシストスーツの使用や、拡張現実(AR)を活用したピッキング作業の効率化、高度な倉庫管理システム(WMS)の導入など、AIやIoTの活用が広がることでしょう。

物流機能の一貫提供と企業間シナジー

  • 物流機能の一貫提供の観点から、関連業務間でのシナジー効果の発揮や、企業間の連携や合併などの進展も期待されます。物流事業を複合的に行う企業は、各機能を有機的に連携させ、より高い付加価値を提供することが求められます。

倉庫業料金体系と料金設定の変遷

  • 倉庫業における料金体系は、保管されるスペースに対する「保管料」と、入出庫作業に対する「荷役料」に大きく分けられます。2002年の倉庫業法改正に伴い、料金設定は国土交通大臣への事後報告制度へと変更されました。報告された料金は上限料金となり、実際の取引では荷主や取引条件、市場状況に応じてこれより低い料金が設定されることが一般的です。
  • 保管料については、1ヶ月を3つの期間(1~10日、11~20日、21日~月末)に分割する「3期制」と、日割り計算をする2つの方法がありますが、3期制が広く採用されています。

倉庫立地の規制と適用地域

  • 倉庫の立地に関しては、建築基準法の規定により、営業倉庫の建設が許可される地域は限られており、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域での建設が可能です。

地理的利点を活かした倉庫業の戦略的価値

  • 倉庫業界にはいくつかの顕著な特徴があります。倉庫業は、主に港湾エリアや物流センターが集まる地域、高速道路のインターチェンジの近くなど、交通網の要所に位置することが多い立地特性を持っています。また、倉庫業は大型の設備が必要とされる装置産業であり、その立地は保管する商品の性質によって制約を受けることがあり、その結果、柔軟な経営が難しい状況になることがあります。さらに、多くの倉庫事業者は他の物流関連業種との兼業が一般的であり、特に中小企業が業界の大多数を占めています。

クライアント属性と保管品目の分析

  • 倉庫業は荷主の業績に影響を受けやすいため、保管される品目の市場動向に注目する必要があります。2014年度の普通倉庫における保管品目の構成比を示すデータが、業界の動向を理解する上で参考になります。

首都圏物流施設の拡大とビジネスチャンス

  • 倉庫の供給面について、国土交通省の「建築着工統計」を参照すると、2009年以降、倉庫の新規着工棟数と床面積が増加しています。特に床面積の増加が目立ち、物流施設の大型化が進んでいることが窺えます。この統計は、地域ごとの倉庫建築のトレンドも提供しています。
  • 業界が直面する課題には、倉庫の供給が需要を上回りやすい状況であることが挙げられます。これは、賃貸物流施設の建設増加や大型物流施設の出現により、業界全体の競争が激化していることを意味します。これらの新しい施設は、最先端の物流技術やシステムを導入しており、サービス品質の面での競争も激しくなっています。
  • 首都圏における圏央道の開通とそれに伴う物流施設の急速な増加は、内陸地域での道路インフラの発展が、倉庫業の事業環境に大きな変化をもたらす可能性があることを示しています。加えて、外国資本の企業が高度な物流機能を備えた施設を提供するなど、業界内での競争はさらに激しくなっています。また、物流施設特化型のJ-REITの成長は、資金調達の手段を多様化しています。

資金調達をする際の準備

  • 資金調達をする際には、荷主企業との関係性、取引の歴史、取扱商品、料金体系、倉庫の利用状況、提供されるサービス内容、倉庫のスペックなどを明らかにしておいた方が良いです。
  • 倉庫業における資金調達のタイミングは、主に運転資金と設備資金の二つに大別されます。
  • 運転資金の面では、倉庫業者は荷主の物品を保管することが主業務であるため、在庫を保有することが原因で運転資金が必要になることは少ないです。しかし、保管料などの収入が現金化されるまでには業界平均で約1.5ヶ月かかるため、運転資金としては月商の約1ヶ月分が必要とされています。売掛金は、経理上は営業未収入金として扱われます。
  • 設備資金に関しては、新規倉庫の建設・開業、既存倉庫のリニューアルや建替え、生産性向上のための投資などが主な資金調達のタイミングとなります。新規投資では、保管需要の見通しや立地の優位性、導入する設備やシステムの性能、労働力の確保などを総合的に検討し、投資の効果を適切に評価することが求められます。既存倉庫のリニューアルは、保管スペースの拡大や効率的な利用を通じて追加的な投資効果を期待できるかを検討します。建替えの場合は、保管量の増加や先進的な設備・システムの導入の可能性も考慮する必要があります。

普通倉庫業務と他業務の収益構造

  • 普通倉庫業を営む事業者は多くの場合、他の業務も兼業しており、国土交通省の統計によると、主要倉庫事業者の営業収益の内訳では普通倉庫業務が23.0%を占めています。このように、普通倉庫業務以外の収益源も重要な役割を果たしていることがわかります。
  • 倉庫業界の収益性は、営業損益と営業利益率を中心に、中期的には緩やかな改善傾向にあることが観察されます。特に普通倉庫部門において、保管業務の利益が荷役業務の赤字を補填する構造が見受けられます。荷役業務が赤字を続けているため、収益性の向上には保管業務の収益を強化し続けることが重要です。

倉庫業の社会的重要性

  • 倉庫産業は、2013年10月の日本標準産業分類により、「物品を保管する事業を主とする事業所」と位置づけられています。この業界は、生産と消費の間を繋ぐ重要な社会的役割を担っており、倉庫業法に従い、国土交通大臣からの登録が必須とされています。

金融機関との連携

  • 開業後、資金調達をする際に、金融機関と連携をすることも重要な論点です。
    新規倉庫用地の取得、既存倉庫の改築や設備更新、新規事業取組みなどの大型の資金調達を行うことは、金融機関にとってもメリットが大きいです。そのため、金融機関と連携することで、用地の仲介、新規荷主の紹介、新規事業に適した提案やノウハウ提供などを求めることも可能です。

小規模企業と大企業の収益性比較

  • 小規模な企業に関するデータを見ると、売上高営業利益率は約4%で推移しており、大企業のデータよりも高い傾向にあります。これは、小規模企業では減価償却費などの固定費が比較的少ないためと考えられます。

倉庫業の財務安定性と安全性

  • 安全性の観点からは、流動比率が150%近辺、自己資本比率が30%台で推移し、業界全体として短期的な支払能力と財務の健全性が比較的安定していると言えます。流動資産の中で、資金化に時間がかかる在庫が少ないことも、倉庫業の安全性を支える要因となっています。

生産性向上と荷役業務の効率化

  • 生産性に関しては、従業員一人当たりの生産性が長期にわたり改善している傾向が見られますが、赤字を続ける荷役業務の効率化が課題として残ります。人手を多く要する荷役業務の生産性を高めることで、全体の利益改善につなげる取り組みが重要です。

設備投資とキャッシュフロー管理

  • 倉庫業界では近年、安定した収益の計上が見られるほか、在庫を持たないビジネスモデルと減価償却費の計上により、基本的に安定したキャッシュフローを生み出しやすい環境にあります。しかし、大規模な設備投資が伴う債務返済や金利の負担があり、キャッシュフローにおいても相応の支出が発生します。設備投資を行う際には、投資の計画や需要予測を基に、長期的なキャッシュフローが持続可能かどうかを検証することが重要です。

営業地盤の評価と立地の重要性

  • 営業地盤の評価においては、立地の優位性が業績に直結するため、アクセスの容易さや将来の道路建設計画などを考慮して、将来的な優位性を評価する必要があります。また、荷主との関係や市場内の競争状況の理解も欠かせません。

災害対策と環境配慮の重要性

  • グローバル化の進展、災害に強い倉庫の構築、環境への配慮など、今後の倉庫業に求められる要素にも注目が必要です。もし兼営事業がある場合は、各事業の損益動向やシナジー効果の把握も重要です。
  • 本記事の内容は調査時点のもので、独自調査による推測の情報を含んでおります。数値等の情報を含め保証されるものではありません。
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