「楽器屋さん」の独立開業で儲かる極意。成功と失敗のポイントも解説。

目次

「楽器屋さん」の開業が儲かるメリット・失敗すると儲からないポイント

売上高と在庫管理のバランス

  • 楽器屋さんは高価な商品を扱う特性上、商品回転率が低めであり、売場面積あたりの売上が高い傾向にあります。
  • 在庫管理は特に重要で、過剰な在庫を抱えていないか、特に商品ライフサイクルが短い電子楽器の在庫状況には注意が必要です。仕入れに関しては、仕入れリベートが生まれることもあるため、現金払いが一般的です。

楽器仕入れと販売形態の多様化

  • 楽器の仕入れは、一般に買取制を採用しており、特に大型楽器の支払い条件は月末締めの翌月末払いが標準です。
  • 小規模メーカーの楽器、例えば弦楽器などは、支払い期間が長く設定されることが多く、手形払いが一般的です。
  • 販売形態については、ピアノなどの大型楽器は店頭販売の他、訪問販売やインターネット販売も行われています。
  • 小売店においては、特にネット販売が売上拡大の鍵となっており、クレジットカード支払いや提携ローンなど、様々な支払い方法に対応することが求められます。

楽器市場の変遷と開業のチャンス

  • リーマンショック以降、楽器市場は厳しい状況にあります。2010年に比べて、2016年や2018年の1世帯あたりの年間楽器消費額は半分程度に減少しました。
  • この傾向は、2011年の東日本大震災が大きな影響を与えていると見られています。しかし、2014年には震災復興や消費税増税前の駆け込み需要などにより、一時的に回復の兆しを見せました。
  • その後、消費の低迷が続いていましたが、コロナ禍での在宅時間の増加により、新たに楽器を趣味とする人が増え、最近では1世帯あたりの支出額が増加しています。

ピアノ調律と管楽器修理のビジネス機会

  • 楽器の中で特にピアノは売上の中心となっており、調律の重要性は広く認識されています。一方で、管楽器などの修理の重要性はまだ十分に理解されていない場合があります。
  • 楽器屋さんには、販売だけでなく、楽器を適切に維持するための定期的な点検や修理を推奨することも大切です。

楽器販売業界の主要プレイヤーと市場構造

  • 楽器販売業界においては、ヤマハミュージックリテイリング(東京都港区)、島村楽器(東京都江戸川区)、サウンドハウス(千葉県成田市)、石橋楽器(東京都千代田区)、池部楽器(同じく千代田区)、黒澤楽器(東京都豊島区)、そして三木楽器(大阪府大阪市)などの店舗が特に知られています。
  • 特にヤマハミュージックリテイリングと島村楽器は、売上高で他の楽器店を大きく上回っています。

国内外の消費者動向と楽器市場の将来性

  • 消費者の傾向を見ると、中国をはじめとする新興国ではピアノ市場が順調に成長しているものの、国内では苦戦が続いており、市場は停滞しています。
  • 総務省が行った「社会生活基本調査」によると、2016年から2021年の間で楽器を趣味とする人の割合はわずかに減少しており、特に10代の減少が目立ちます。
  • これはコロナ禍での学校の部活動や各種イベントの自粛が影響していると思われます。しかし、家庭内で楽器演奏を楽しむ層は増加傾向にあり、特に40代の間で演奏者が増えていることがわかります。この世代へのアプローチが今後の市場拡大につながる可能性があります。

楽器小売業界におけるM&A戦略とその影響

  • 楽器小売業界におけるM&A(企業の合併・買収)戦略は、新たな市場への進出や業務拡張を目的として、既存の企業統合や合併に重きを置くことが多いです。
  • M&Aでは、関係する企業の財務状況の詳細な確認や、双方の企業が持つ強みをどのように活かすかが重要な検討事項となります。
  • また、合併後には、特に音楽教室などの新規事業を引き継ぐ場合、防音設備の整備やイベントスペースの設置など、店舗のレイアウト変更や改装に伴う追加の設備投資が必要になることがあります。

楽器関連商品市場の多様性と収益機会

  • 楽器だけでなく、アクセサリーや消耗品などの関連商品市場も安定しています。実用性のみならず、気分転換やファッションとしての要素も求められ、多様な製品が市場に出回っています。これらは小売店にとって重要な収益源となっています。

日本製楽器の国際的評価と家庭向け製品の増加

  • 生産の面では、ヤマハ、ローランド、河合楽器といった日本の大手メーカーが世界的にも高い評価を受けています。経済産業省の「生産動態統計年報」を見ると、ピアノやギターなど、家庭で一人で楽しめる楽器の売上が増加しており、この傾向は一人でも演奏可能な楽器への需要が高まっていることを示しています。

楽器市場の成熟期と売上拡大戦略

  • 楽器市場は既に成熟期に入っており、今後の大幅な市場拡大は難しいと予想されます。そのため、楽器販売だけでなく、音楽教室を併設するなどして売上を伸ばす取り組みが必要です。
  • 店舗の立地や商品の品揃え、提供するサービスにおいて差別化を図ることが求められます。趣味として楽器演奏に興味を持つ人はまだ多く、これらの潜在的な顧客をどのように引き込むかが、今後の楽器業界の大きな課題となります。

楽器屋さんの開業に関連する法律:再販制度等

  • 再販制度に関しては、CDやレコードなどの音楽メディアは、独占禁止法に基づく法定再販商品として取り扱われ、製造者(供給者)は卸売りや小売り業者に対して販売価格を指定し、その遵守を求めることができます。
  • 書籍や、音楽など、再販制度がある業界は、販売価格の決定権を小売サイドが有していません。 ゆえに、開業エリアや、接客レベル、ポイント還元などで差別化するケースも多く、単純に展開しているだけでは、商売として大成功は難しいです。
  • 販売契約に違反した場合、供給停止や契約解除が行われることもあります。また、音楽教室では2018年からJASRACによる著作権料の徴収が開始されましたが、2022年10月の最高裁判所の判決により、教師の演奏には著作権料の支払い義務があるものの、生徒の演奏には徴収対象外とされました。このような著作権関連の規定も、楽器屋さんが音楽教室を運営する際には注意が必要です。
  • 電子楽器に関しては、電気用品安全法(PSE法)の適用を受けます。この法律は、電気用品の安全性を確保するために、製造、輸入、販売に関する規制を定めており、電気用品を取り扱う業者は、法律で定められた手続きを遵守し、製品にPSEマークを表示する必要があります。これらの法的要件を遵守することは、電子楽器を扱う楽器屋さんにとって必須の事項となります。

専門知識と顧客ニーズへの対応力

  • 楽器販売の業界では、商品を選ぶ際に専門的な知識が必要とされることが多く、消費者は多様な選択肢から自分に合ったものを選びます。これには初心者向けの楽器からプロフェッショナル用、また国産から輸入品まで含まれます。
  • そのため、販売員には高い商品知識とともに、顧客のニーズを正確に把握し、最適な提案を行う能力が求められます。また、顧客の要望に応じて適切な商品を選定し、提供することも大切です。

中高年層向け音楽教室の機会と顧客サービス

  • 楽器演奏を趣味とする中高年層が増加しているため、この年齢層を対象とした音楽教室の需要が高まっています。
  • 楽器屋さんにとっては、単に楽器を展示するだけでなく、音楽教室を併設することで、中高年層の顧客を引きつけることができます。
  • この層は経済的な余裕があるため、音楽教室を通じて高価な楽器の販売につながることもあります。このため、高齢者に適した接客スキルも販売員には必要です。

楽器屋さんの運転資金と商品仕入れの重要性

  • 楽器屋さんにおける運転資金の需要は、主に商品の仕入れに関連しています。これらの店舗では、高価な商品群を扱う傾向にあり、加えて最近では商品ラインナップの多様化が進んでいるため、店舗の在庫を充実させるための資金調達の必要性が増大しています。
  • 仕入れの単価の高さと、種類の多さが、楽器屋さんの経営の難しさと言えます。
    逆に、食料品などとは違い、在庫が腐るわけではないことが強みの1つと言えます。

地域別楽器店の分布: 首都圏集中と地方の機会

  • 地域別に見ると、東京都に最も多くの楽器屋さんがあり、全体の約18%を占めています。首都圏の東京、神奈川、埼玉、千葉の4県で、全体の約31%を占めており、楽器販売店は首都圏に集中しています。家計調査によると、全国的に楽器の支出は増加傾向にあり、特に近畿や中国地方での支出増加が目立っています。
  • コロナ禍による自宅での過ごし方の変化に伴い、ギターやピアノなど家庭で楽しめる楽器の売り上げが伸びていますが、吹奏楽コンクールの自粛や部活動の制限により、管楽器の売り上げは大きく落ち込んでいます。

オンラインビジネス戦略の展開とその効果

  • インターネットを活用したビジネス展開も楽器屋さんにとって重要な戦略の一つです。オンラインショップの開設や、楽天などの大手オンラインモールへの出店を通じて、インターネットを販売チャネルとして活用することが増えています。

アコースティック楽器と電子楽器の分類と特徴

  • 楽器は、その構造と鳴らし方に基づいて、大きくアコースティック楽器と電子楽器の二つに分けることが可能です。アコースティック楽器は、歴史的に古くからある伝統的な楽器を指し、「ピアノ」「オルガン」「弦楽器」「管楽器」「打楽器」などが含まれます。
  • たとえば、弦楽器にはバイオリンやギターがあり、管楽器はホルンやフルートのように、管内の空気の振動で音を出す楽器です。
  • 一方で、電子楽器はエレキギター、電子オルガン、電子ピアノ、電子キーボード、シンセサイザーなどがあり、アコースティック楽器に比べて新しい機能や音質の開発が進んでいます。
  • アコースティック楽器でも、特にピアノは子供の教育用として購入されますが、電子楽器は趣味や娯楽のために購入されることが多いです。
  • 電子楽器の商品ライフサイクルは短いことが特徴で、新しい技術や機能の導入が頻繁に行われます。

収益性とキャッシュフローの分析

  • キャッシュフロー分析では、現金支払いが基本となる仕入れが経営に及ぼす影響を検証することが重要です。特に長期にわたる運転資金の必要性がある場合、支払条件、在庫レベルの適正性、不良在庫の有無、商品管理の適正化などが検討事項となります。
  • 設備資金に関しては、新規開店や店舗のリニューアルに伴う資金需要とその調達計画のバランス、投資の回収見込みについて精査する必要があります。

楽器の流通経路とオンライン配信の拡大

  • 楽器の流通経路は、主にメーカーから直接販売されるか、あるいはメーカーから小売店へと流れるパターンが一般的です。特に弦楽器のような中小メーカー製の楽器は、問屋を介して小売店へと流通します。
  • また、CDショップに楽器売り場を設けるケースや、インターネットを介したCD販売、音楽のオンライン配信も増えています。
  • オンライン配信に関しては、JASRACなどの著作権管理団体が定める使用料を支払うことで、法的に問題なく事業を行うことができます。
  • CD売上げの低迷に伴い、販売形式も変化しており、プリペイド式のアルバム販売や歌詞カードの販売など、新しい販売形態が模索されています。

楽器市場の変遷: 教育と文化の発展に伴う業界の成長

  • 戦後、音楽教育が学校教育の一環として取り入れられるようになり、学校にはピアノや専用の音楽教室が設けられるようになりました。その結果、教育機関向けに楽器を販売する楽器屋さんが数多く出現し、音楽教育の普及に伴い、音楽専門学校の数も急速に増加しました。
  • 一方で、民間ではヤマハや河合楽器などの大手楽器メーカーがオルガンやピアノの教室を開設し、音楽教育の場を広げていきました。また、同時期には欧米からロックンロールが伝わり、エレキギターへの関心が高まり、多くの新しい音楽ファンが生まれ、若者の間でギターが人気の楽器となりました。
  • 楽器は一般に価格が高めであり、品種も多岐にわたります。特に電子楽器は機能が多く、製品のライフサイクルも短い傾向にあります。楽器の購入は新学期の始まりとともに活発になることが一般的です。総務省と経済産業省が行った「経済センサス-活動調査」によれば、2021年時点での楽器販売店は1,399店舗と、1991年以降減少しており、年間の販売額も1991年の約4分の1にまで縮小しています。

設備投資と店舗運営の財務計画

  • 設備資金の面では、新たな店舗の開設や既存店舗のリニューアル、POSシステムなどの情報技術の導入に資金が必要です。
  • 特に中高年層をターゲットとした店舗設計や、新しいビジネスモデルへの展開、例えば音楽教室の開設などには、相応の設備投資が求められます。
  • これらの投資は回収期間が長期にわたるため、財務計画においては慎重な検討が必要です。

海外展開と国内外の市場戦略の重要性

  • 国内市場の縮小が続く中、海外展開を進める楽器屋さんもあります。例えば、島村楽器は中国に5店舗を構え、ヤマハは2022年3月期の売上のうち、海外が74.2%を占めており、国内よりも海外での売上が多くなっています。
  • 中小規模の店舗では、オンラインでの海外販売、中古楽器の取り扱い、和楽器の教室やレンタル、購入後のメンテナンスサービス、専門的な修理サービスなど、様々な方法で差別化を図り、顧客のニーズに応える商品やサービスを提供しています。

仕入れと、アフターサービスの重要性

  • 収益状況を見ると、楽器はその性質上、仕入れに慎重さが求められ、特に電子楽器の場合は商品知識とともに、アフターサービスの提供も重要になります。
  • 店舗の収益性は、これらの仕入れ管理と顧客サービスの質に大きく依存しています。また、店舗の大型化や多店舗展開を進める場合は、その規模拡大が収益性向上につながっているかを検証する必要があります。

経営改善と販売管理費の最適化

  • 経営改善や収益向上を目指すには、店舗運営の見直しと販売管理費の最適化が鍵となります。店舗運営では、明確な運営方針の設定、ターゲット市場の特定、適切な販売戦略の確立が求められます。
  • また、顧客への丁寧な商品説明や購入後のフォローアップを通じてリピーターを増やし、売上を伸ばすことが大切です。
  • 販売管理費では、不必要なコストを削減し、効率的な運営を心がけることが重要です。特に多店舗展開している場合は、不採算店舗の見直しや閉鎖も検討する必要があります。

オンライン集客施策と顧客体験の向上

  • 集客施策としては、コロナ禍の影響を受けてECサイトの利用が活発になっています。例えば、東京都に本社を置く池部楽器店は、オンライン接客にスタッフの個性や専門知識を活かし、店頭と同等の購入体験をオンラインでも提供しています。
  • さらに、渋谷に旗艦店をオープンさせ、修理工房や演奏・配信スペースを設けるなど、販売だけでなくエンターテインメントの提供を通じて売上を伸ばしています。これらの取り組みは、楽器店が実店舗とオンラインの双方で顧客体験を高め、集客を図るうえで有効な戦略といえるでしょう。

楽器製造業の礎:山葉寅楠

  • 山葉寅楠が1887年に静岡県の浜松市でオルガン修理の仕事を始め、やがては自らオルガンを制作し始めました。その後の1900年には、日本製のピアノを初めて作り出し、現代の楽器製造業の礎を築いたとされています。
  • 本記事の内容は調査時点のもので、独自調査による推測の情報を含んでおります。数値等の情報を含め保証されるものではありません。
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