【失敗する?】エスニック料理店・無国籍料理店の開業に必要な資格と、儲かる成功の極意。
- 本記事では、エスニック料理店を「メキシコ・ベトナム・タイ・インド・トルコ」などの各国料理という前提で論ずる。
- 一般認識において、エスニック料理店と、無国籍料理店の区別がつかない消費者も多い。
そのため「無国籍料理店の開業」を検討する起業家にとっても有効なレポートとなっている。
目次
エスニック料理店の開業のメリット・儲かるチャンス
競合が弱くて、少ない
- エスニック料理店は典型的なニッチ市場であり、大手企業の独占などの傾向は見られない。
そのため、後発の起業家であっても、多くのチャンスが残されている稀有なマーケットと言える。
- エスニック料理店の既存プレイヤーの特徴は下記の通りである。
- メキシコ・ベトナム・タイ・インド・トルコなどの、各国の出身者が、日本で開業するパターン。
これには日本人向けにカスタマイズされた料理を提供するパターンと、日本に住む各国の在日外国人向けの店の場合と2通りが存在する。
- 飲食系を中心とした、大手企業・中小企業が新規事業として、競合が弱い領域として着目して、新規事業を立ち上げるパターン。
- 旅行、学問、文化、趣味などをキッカケに、各国の料理にも関心を持つことになった日本人による開業パターン。
- いずれにしても「日本人の口に合うカスタマイズをされたエスニック料理」であることが基本的な方針となる。
エスニック料理店の大手プレイヤー
- 基本的には、エスニック料理店には、独占的な大手プレイヤーは存在しないものの、やや規模の大きいチェーン店は存在する。
しかし、その大手でも店舗数は20店舗にも満たない規模であり、他の飲食業態と比較すると非常に規模が小さい。
- エスニック料理店の大手プレイヤー
- トムヤムラーメンティーヌン:15店舗
- マンゴツリーカフェ:13店舗
- モンスーンカフェ:9店舗
- マンゴツリーキッチン:7店舗
高価格帯のコンセプトも成立する
- エスニック料理店は、比較的安価な価格設定になっていることが多いものの、高級店のコンセプトで成功している店舗も存在している。
- ただし、ある程度の手頃な価格に設定して、固定客を積み重ねた方がリピート率向上はさせやすい。
ただし、リピート率を上げるためには、顧客に飽きを来させないように、メニュー構成などもある程度の頻度で入れ替えていくような創意工夫の余地も必要になってくる。
エスニック料理店の開業のデメリット・リスク
定義が曖昧
- 本記事では、エスニック料理店を「メキシコ・ベトナム・タイ・インド・トルコ」などの各国料理という前提で論じている。
ただし、一般認識において、エスニック料理店と、無国籍料理店の区別がつかない消費者も多い。
そのため「エスニック料理店」という表現や「無国籍料理店」という表現で、店舗の訴求を行うと、近隣の一般消費者が、店内にある料理のイメージを沸かすことができずに、入店を躊躇してしまう場合がある。
- そもそも「エスニック」という言葉は、「人種のるつぼ」とも言われているアメリカからとされており、西洋以外の料理を全て指すような言葉として使われていた。
- そのため、アメリカでは、日本料理も含めてエスニック料理と表現がされている。
専門技術を持つ、料理人の採用が必要になる。
- エスニック料理は、専門的なスパイス知識や、調理技術が求められるため、基本的には専門の料理人の採用などが必要とされる。
- しかし、フランチャイズなどに加盟することで、調理済みのレトルト食材などを入手しやすくなることもあるため、開業オーナーのバックグランドや、経営資源に応じて、加盟を検討するのも1つの手だ。
専門の設備が必要
- 事業コンセプトにもよるが、料理によっては、専門の調理器具や、オーブンなどの設備が必要とされる。
- それらが、国内では流通していないケースもあり、場合によっては海外から輸入をするなどの対応も必要なケースがある。
好き嫌いが激しい
- エスニック料理は、日本では普段利用をしないような、少しクセのあるスパイスを利用することが多い。
そのため、顧客はハッキリと好き嫌いが分かれるケースが多い。
- 味にクセがあるため、味が気に入った顧客からは「他ではなかなか食べられない店」として認知され、リピート率を大きく上げることができる、というメリットがある。
- 一方で、味のクセの強さから、初回の来店時に「もう2度と食べたくない」と嫌煙されてしまうことも少なくない。
そのため、数あるメニューの中でも、比較的日本人でも抵抗なく食べやすいメニューをオススメ商品として訴求しておくなどの対策が求められる。
エスニック料理店の開業を「成功させる」ポイント
店内の内装・BGMにもこだわる
- エスニック料理が人気の理由の1つはアジアを中心としたリゾート地に旅行した経験から「旅行先で食べたエスニック料理をまた食べたい」というニーズである。
- また、予算や文化面の不安など、様々な背景から、旅行経験はないものの「まずは食事から、異文化を知りたい」というニーズも存在する。
- そのため、単純に料理だけを提供するのではなく、内装を含めて、旅行気分を味わえるような空間にすることが求められる。
- エスニック料理店は、料理人やホールスタッフが全員外国人ということも少なくない。
さらに、BGMなどにもこだわることで、より現地の飲食店の雰囲気を感じさせることができる。
メニューをわかりやすくする
- 顧客は、あまり耳慣れない料理が多いことからも、料理のイメージがつきやすいように、写真や、説明文を充実させる必要がある。
エスニック料理店の開業で「失敗してしまう」と儲からないポイント
日本人に受け入れられるエスニック料理にする必要がある
- エスニック料理には、専門知識が求められるため、職人・料理人の採用が必要とされるケースが多い。
- そのため、技術力や知識のある現地の料理人を採用するなどの対応が必要とされるが、それだけでは十分ではない。
あくまでも、本格的な料理ではなく「日本人に受け入れられるエスニック料理」に仕上げる必要がある。
そのため、各国で人気のエスニック料理を、そのままのレシピでは利用できないケースが多い。
マネジメントが難しい
- 「日本人好みのエスニック料理店にする」という経営的観点から、起業家は各国の本場の料理人に味の変更をお願いしなければならない。
しかし、一般的に料理人は頑固でマネジメントが難しいケースが多い。
- しかも、それが日本人オーナーと、外国人ともなると、より言語の壁からマネジメントが難しくなる。
- 言語に加えて、文化の違いでも、マネジメントに苦労することも多い。
- そのため、日本や店舗経営に対する理解のある人材を採用することと、異文化を理解するオーナー側の能力の両方が求められている。
中途半端な競争力で、在日外国人向けのニッチなマーケットで戦う
- 日本の中でも、メキシコ・ベトナム・タイ・インド・トルコなどの外国人が多く居住するエリアは存在する。
- そのため、本格的な各国のエスニック料理店を開業する際には、これらの在日外国人が多く居住するエリアへの開業には一見合理性があるように見える。
- しかし、在日外国人の居住が多いエリアでは、下記のような出店戦略上の欠点が存在している。
- そもそも、味に厳しい判断力を持っている各国の国民が相手の商売となるため、本場さながらの味を出せるようにする必要がある。
- 同じように、効率的に市場を刈り取ろうとするプレイヤーは多く、競争も激しい。
- 「競合が強くて、多い」ため、勝率は必ずしも高くない、というのが出店に向かない主要因と言える。
しかし、逆に既存の競合を倒すための明確な戦略や実行力を持っている場合は、短期間で大きなビジネスに成長させられるチャンスを持っているとも言える。
原材料の仕入れが難しい
- エスニック料理の食材は、スパイスをはじめとして、日本で仕入れるのが難しいものも多い。
そのため、わざわざ海外から輸入コストを支払ってまで仕入れを行う必要が出てしまうこともある。
- そのため、本場の海外現地では大衆的な料理だったとしても、原価率の高さから、販売価格も高くしなくてはならない場合も多い。
エスニック料理店の開業に、必要な初期費用・開業資金
- 下記に、実際にヒアリングを行った、エスニック料理店の開業資金の平均値を挙げた。
- ただし、開業資金が低いキッチンカーを活用した、ケバブ屋などは除外をしている。
内装費・外装費 | ¥8,500,000 |
厨房設備 | ¥2,700,000 |
機械設備 | ¥1,450,000 |
什器備品 | ¥1,200,000 |
開業前賃借料 | ¥750,000 |
開業前人件費 | ¥480,000 |
求人広告費 | ¥180,000 |
販売促進費 | ¥470,000 |
合計 | ¥15,730,000 |
エスニック料理店の開業に必要な「資格・免許」は?
- 食品衛生法に基づく営業許可が必要であり、下記の書類が必要となる。
- 申請書
- 厨房の配置を含めた店舗の図面
- 登記の登記簿謄本
- 申請手数料
エスニック料理店の開業に関連する「申請・届出・契約」
- 外国人の採用が多い傾向があることからも、出入国管理法と密接な関係があり、在留資格証明書が必要になる。
- 食品衛生法・食品リサイクル法・生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律などが深く関わってくる。
エスニック料理店の特徴
- エスニック料理は、メキシコ・ベトナム・タイ・インド・トルコなど、幅広い地域の料理を指すため、一様に味を表現することは難しい。
しかし、一般的には、スパイスが効いた、少しクセのある料理であることが多い。
- 営業時間は、ランチとディナーが中心で、モーニングメニューや、深夜の日を跨いだような営業は少ない。一般的には、11時〜23時の間で運営されていることが多い。
- 従業員は、外国人アルバイトをホールスタッフとして採用し、本場の現地調理ができる料理人を採用しているケースも多い。
- 店内は、民族音楽などがBGMとしてながされ、各国の文化が伝わるような内装に凝っているケースが多い。
ベトナム料理の特徴
- ライスペーパーで野菜を巻いた「生春巻き」など、なにかと日本人に馴染みやすい料理が多く、コンビニなどで販売されていることも多い。
- ヌクマムという魚由来の醤油がよく利用されており、インスタントラーメンなどの形で、流通されていることも多い。
タイ料理の特徴
- トムヤンクンが有名で、米が使用される料理も多いため、日本人にも受け入れられやすいメニューが多い。
- エビ・イカ・ライムなどが多用されており、ナンプラーを調理料として使用することが多い。
インドネシア料理の特徴
- イスラム教徒は、豚肉を使用せず、ヒンドュー教徒は牛肉を使用しないため、スパイスを多用した、魚介系の料理が多いのも特徴だ。
トルコ料理の特徴
- 「世界三大料理」と呼ばれているため、海外では中華料理やフランス料理と並んで、頻繁に食される料理だが、日本ではあまり広く認知されていない。
- 日本では、トルコアイス以外だと、ケバブが人気で、キッチンカーの形式で運営されているケースが多い。
カロリーが高いことから、あまり高頻度で食されないが、夏以外の季節は人気のメニューとなっている。
メキシコ料理の特徴
- トルティーヤ・ワカモレ・タコスが人気で、お酒との相性が良いメニューが多いことから、テキーラなど、酒と組み合わせることで、客単価をある程度高く設定することができる。
エスニック料理店の開業は儲かる?開業オーナーの、実際の収益事例
- 下記に、実際にヒアリングをした、エスニック料理店オーナーの収益事例を紹介する。
売上高 | ¥43,280,000 |
原価 | ¥14,498,800 |
売上総利益 | ¥28,781,200 |
販売費・一般管理費 | ¥39,644,480 |
営業利益 | ¥3,635,520 |
- 本記事の内容は調査時点のもので、独自調査による推測の情報を含んでおります。数値等の情報を含め保証されるものではありません。
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