目次
「カレー屋さん」の開業のメリット・儲かるチャンス
回転率の高さ
- カレー屋さんは迅速なサービスが要求される業態と言え、昼のピーク時にも、高い回転率を維持することができる。
- カレーソースや具材は、前もって調理しておくことができ、提供はご飯を盛った皿にカレーを掛けるだけで完結する。
- このため、提供時間が短縮されるとともに、顧客が食事を終える時間も短い。
- この商材特性により、カレー専門店は経営者にとって、飲食業界トップのビジネスモデルとされている。
手頃な価格で、客層が広く、リピート率が高い
- カレーライスは今や日本人であれば誰しもが愛する国民食となっており、多くの客層から人気の食事となっている。
- 手頃な価格設定も手伝って、顧客のリピート率が高い特徴も持っている。
専門知識のない業界未経験者でも参入できる
- カレーライスを作るには、専門的な技術が不要で、短期の研修で参入することができる。
調理手順をマニュアルに従って進めれば、比較的誰でもプロに匹敵する品質で作ることができるのだ。 - そのため、飲食業界での独立開業を目指す起業家にとっては、非常に相性の良い事業テーマと言える。
- 既製のカレーソースをベースに、独自のアレンジを加えることもできるため、個性も出しやすい商材であることも注目できるポイントだ。
歴史があり、日常食として定着している
- カレーの起源はインドにあり、イギリスを経由して幕末の動乱時に日本に入ってきたとされている。カレーは独特な深みのある味わいがあり、日本に元々定着をしていたご飯との相性の良かったことから急速に受け入れられていき、普及していった。
- 明治の後半には、即席カレーが開発され、家庭の定番料理として根付いていった。
- 現在、カレーは日常食として馴染んでいるが、明治初頭には洗練された西洋の料理として高く評価されていた。
- 「カレー専門店」の歴史も長く、明治時代に始まりを告げていた。
いわゆる「カレー屋さん」が普及したのは1978年、愛知県一宮市に本社を構える「壱番屋」の1号店開業がキッカケとされている。 - 壱番屋は、当時既に日常食としての地位を確立していたカレーライスを「フランチャイズ展開」することで大々的に推進した。
「カレー屋さん」の開業のデメリット・リスク
市場の成熟化と、競争激化
- カレー屋さん自体は、今後も引き続き高い需要が期待されるが、大手チェーンの拡大によって市場は徐々に飽和してきている。
- 一部のチェーンでは、新規開店よりも閉店の方が増えている傾向も見られるが、市場全体で見れば新規展開は継続されると考えられる。
- 最近では、カレーに限らず、ラーメンなど他の商品群の提供も始める動きも見られており、将来的には、同じ業種同士の競争だけでなく、異なる業種との競争も更に厳しくなると考えられる。
フランチャイズの活用
- カレー業界を分析してみると、事業所と従業員の数は、双方ともに増加の傾向が見られるが、事業所ごとの従業者数を見ると、その数は増えている。
そのため、比較的大きな事業所の数が増加していると考えられる。 - これは小規模なカレー屋さんを手掛けようとしている起業家にとっては必ずしも好ましいデータとは言えない。
開業エリアにおける調査を綿密に行い、明確な戦略を描いた上で開業に踏み切るべきだ。 - 実際、大手カレーチェーンの「壱番屋」はカレー業界におけるシェアが圧倒的である。
そのため、彼らの出店戦略や、商品戦略はよく研究をするべきだ。 - カレー業界では「ゴーゴーカレー」や「日乃屋カレー」のようなフランチャイズを展開している大手企業も存在する。
個人店で明確な戦略が描けない場合は、これらのカレー系フランチャイズに加盟することで勝率を高めることもできる。
カレー屋さんの開業を「成功させる」ポイント
トッピングの提案をして、単価を上げる
- カレーの奥深い風味は、さまざまな食材と相性も良く、トッピングの提案がしやすい。
- ポークカツ、チキンカツ、エビフライ、ハンバーグ、唐揚げ、カキフライ、コロッケ、目玉焼き、ゆで卵、ほうれん草のおひたし等、多岐にわたる具材を組み合わせることで、おいしさを底上げできる。
- そのため、ベースのカレーライスは安く提供をすることで、集客力を高めながらも、高単価ビジネスとしても成功させることができるのだ。
トッピングの例
- 野菜:茄子、ホウレンソウ、生キャベツ、トマト
- 肉:ハンバーグ、炒め物、ソーセージ、骨つきチキン
- 揚げ物:とんかつ、コロッケ、フライドポテト、唐揚げ
- その他:チーズ、各種ソース、辛味の調整用のスパイス、スクランブルエッグ・目玉焼き
サイドメニュー
- 漬物:らっきょう、福神漬け、ピクルス、キムチ
- サラダ:基本のグリーンサラダをベースに、蒸し鶏、ポテトサラダ、ゆで卵、唐揚げ等のトッピングを添えたもの。
- ドリンク:コーヒーや各種茶、ラッシー、コーラ等の飲み物、乳製品、さらにはアルコールも取り揃える。
- デザート:アイスクリームやヨーグルト、マンゴープリンなど
個性のある独自のカレーを提供する
- 「カレー」とひとことで言っても、その実際には数多くの種類が存在し、それぞれ異なる特色がある。
- インドカレーの店と、和風出汁を取り入れたカレーの店では、同じ「カレー」というジャンルでありながらも、メニュー全体の構成や、風味も大きく異なる。
- このためカレー屋さんは、近隣に複数の事業者が存在しても、競合するというよりは、異なる料理を提供する事業者として共存することもできる。
日本のカレーの特徴
- 日本のカレーは、和風の出汁をベースにしたり、魚介類を調味料として使うなどのバリエーションがある。
- 全国各地で独自のカレーが生まれており、例としては札幌のスープカレーや富良野のオムカレー、大阪のまぜカレーなどが挙げられる。
- カレーライスだけでなく、カレーパンやカレーうどん、カレーコロッケといった多彩なアレンジが日本国内で楽しまれている。
欧州カレーの特徴
- イギリスやフランスなどの欧州のカレーは、インドのスパイスとシチューを融合させた起源とされるが、厳密に「欧州カレー」という定義は存在しない。
- ブイヨンで煮込んだり、デミグラスソースやホワイトソースと組み合わせ、独特のとろみを持つことが特徴である。
インドカレーの特徴
- 北インドのカレーは乳製品が使われており、クミンやコリアンダー、シナモン、カルダモン、マサラといったスパイスを織り交ぜている。肉が使われた濃厚なカレーが特徴となっている。
- 南インドのカレーはココナッツミルクが主成分となっており、ギーではなく、マスタードオイルや胡麻油が多く使われている。
野菜や豆が多用されることからも、ベジタリアンが食べる料理としても有名で、北インドのカレーよりも辛くて、水分が多めである。
インドネシアのカレーの特徴
- インドネシアのカレーは、唐辛子、ターメリック、カシューナッツ、アッサムなどをスパイスとして取り入れている。辛さは控えめで、比較的さらっとしている点も特徴である。
タイのカレーの特徴
- タイのカレーは「ゲーン」として知られる汁状の形式が主流である。
- ココナッツミルク、ナンプラー、そしてコリアンダーやキダチトウガラシを活用しており、グリーンカレーが特に有名である。
ネパールのカレーの特徴
- ネパールのカレーは、ダルというレンズ豆を中心に据えたもので、辛さは控えめである。
顧客ターゲットを明確にする
- カレーは明治から続く国民的な人気料理であり市場規模も大きい。
そのため、カレー店は様々なニーズに応える工夫が求められている。 - カレーは事前に仕込みの準備がしやすく、迅速な提供ができるため、ファストフード需要や、昼食需要の取り込みがしやすい。
- 家族内での人気が高いことから、家族連れのニーズや夕食の需要に応える方向性でも伸ばすことができる。
- スパイスの組み合わせにより、独自のカレーを作り出すこともできるため、本格的なカレーを求める層に特化することもできる。
カレーグランプリで入賞する
- 国内各地で地域独自のカレーが生まれており、カレーグランプリやフェスが行われることで、地域の活性化にも貢献している。
- グランプリで上位に入ることで、権威性が上がり、新規集客などにも寄与することになる。
継続的な新メニューの開発と、サービス向上
- カレー屋さんの経営を成功させるには、継続的な新しいメニューやサービスの向上は必須である。
- 例えば、季節の食材を活用したメニューの開発や、地方の特産品を使ったカレーの提供などが求められている。
- 地方の特産物を用いたカレーは、泉佐野市や佐世保市、八雲町といった自治体で納税の返礼品の対象として提供されている。
顧客情報を蓄積し、分析した結果を施策に反映する
- 小規模事業者の場合、POSシステムを導入していないケースも多いが、レジのデータが取れるメニューごとの売上や時間帯ごとの客数の解析することは極めて有効だ。
- これらの情報を分析することで、新しいメニューの提案や特定の時間帯の集客強化のためのプロモーション活動を展開することができる。
オペレーションを磨き込む
- 一般的には、カレー屋さんは、ベースとなるカレーソースを予め準備して、鍋等に保管しておき、顧客からの注文時に再加熱し、要望に応じて味を調整して提供する。
これにより、注文から提供までの時間を短縮でき、流れもスムーズにできる。 - トッピングの揚げ物は、品質を保つためにも、注文が入ってから揚げることが一般的である。
- しかし、従業員の動きを良くしたり、一部業務自体を機械化・外注化によって磨き込むなどのオペレーション効率化は店舗によっても様々であり、常に磨き込みを行う必要がある。
物販収益を作る
- カレー店の場合、メニューをレトルト商品として製造することで、物販収益を拡大させることができる。
- 店頭販売のみならず、インターネットなどを通じた販売により、一気に商圏を拡大することもできる。
海外展開をする
- 例えば、「壱番屋」や「ゴーゴーカレー」のようなチェーン店は、中国や東南アジアでの事業展開を果たしている。「壱番屋」は、海外でも日本の味を提供しており、現地ではある程度高級ブランドとしての地位を築いている。
- 海外での日本のカレーは「ジャパニーズカレー」として、他国のカレーとは異なるカテゴリとして認識されている。
- 和食のユネスコ登録も後押しとなり、更なる海外展開が期待されている。
ITの活用による業務効率化
- 多くの大手チェーン店では、POSシステムの導入を通じて、数値分析等を行い、業務効率化を図っている。
- 加えて、ポイントカードや会員制度の導入も進めており、顧客のリピート率向上をIT活用によって効率的に進めている。
- LINEなどを活用した顧客のリピート率向上であれば、大きな投資もなく、小規模な事業者でも気軽にチャレンジできる。
インターネット広告を強化する
- 集客のためには、飲食店向けのウェブサイトへの掲載や、検索エンジンやSNSを活用した宣伝が低予算で実現可能であるため、多数の店舗で採用されている。
- 特に、専門店が提供する独特のカレーやトッピングは、家庭では再現困難な独自商品となっているため、Instagramやブログに頻繁に取り上げられている。
カレー屋さんの開業で「失敗してしまう」と儲からないポイント
安売りをしてしまう
- 大手チェーン店と小規模な個人店では、収益を上げるための戦略が異なっている。
- 大手チェーンは、商品を低価格で提供するために、大量仕入れ、効率的な経営管理、アルバイトやパートの適切な配置・動作などが徹底されている。
- 個人店では大手チェーン店では味わうことのできない独特な味わいや、内装等による雰囲気などの魅力がある店舗作りとなっている。それらを背景に、大手チェーン店よりも、高価格での販売を行い利益を確保している。
品質と販売価格の両立
- カレー業界は、大手チェーンの市場展開により、市場は既に成熟しており、全体で見ると価格変動は少ない。
- カレーの販売価格は、元々高いものではないが、消費税の増税や原材料費の高騰、人件費上昇の影響を受け、若干の価格上昇が見られる。
- 一方で同時に、経済の厳しい風潮から、低価格の商品が求められている。
その結果、高品質を維持しつつ、コストを抑える取り組みが必要とされている。
食の安全性への取り組みが弱い
- 食品産地偽装問題やアルバイトによる問題行為などが起きることで、消費者の食の安全性に対する関心が高まっている。
- カレー店も、店頭やオンラインでの食材の出所やトレーサビリティーを明示することで、安心・安全をアピールする必要がある。
- アルバイトによる問題行為が起きないよう、教育体制を強化することも求められている。
競合を正しく把握していない
- 競合は、店舗のコンセプトに応じて変わってくる。
ファストフードスタイルのカレーショップの場合は、他のハンバーガー等のファストフード店やコンビニエンスストアとの競争が激しい。 - 一方、ファミリーレストランの形式を採る場合、近隣の同種のレストランが主な競合となる。
- 個人経営の店舗は、大手チェーンとの直接的な競争を避けるために、独自の味や店舗デザインで差別化を図る必要がある。
運転資金が常に足りているかチェックする
- 現金収入が多いため、普段の運転資金は自社で賄えることが多いが、大量の仕入れや、繁忙期等の影響によって、資金が不足しないかは常に目を配る必要がある。
内装への投資を怠らない
- 高単価ビジネスとして成功させるには、雰囲気作りをするためにも、店内の設備等に継続的に投資をすることが大切だ。
そのため、内装のデザインや各種小物やアイテムを数年おきに大きく変更することも考慮し、その際の費用を日頃から準備しておくことが重要である。
カレー屋さんの開業に必要な「資格・免許・申請届出」は?
- カレーの提供をする以上、食品衛生法が密接に関連しており、保健所からの営業許可と指導を受けることが不可欠である。
- 本記事の内容は調査時点のもので、独自調査による推測の情報を含んでおります。数値等の情報を含め保証されるものではありません。
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