目次
「フレンチ・フランス料理店」の開業のメリット・儲かるチャンス
参入障壁が高い
- 昔に比べると、フランス料理店は日常食となってきたが、フランス料理というものは今でも特別な食事と見られている。
- その特別感からも、店舗は高度な専門性が求められ、料理やサービスだけでなく、店の外観や内装、さらにはインテリアや装飾品に至るまでの一貫したイメージが大切にされている。
- 高価な食材の使用や、備品へのこだわりから、フランス料理店の参入は他のジャンルよりもハードルが高い。
- 参入障壁が高いため、開業エリアにおける競合も増えづらく、高い収益性を保ちやすい。
既に、フランス料理店への参入を決めた起業家にとってはメリットと言える。
利用の敷居が下がり、身近な料理になった
- フランス料理とは、16世紀にイタリアから伝わり、フランスで独自の進化を遂げたものを指す。
- フランスの宮廷で重宝されたその料理は、国際的な外交の席での晩餐として頻繁に出されていた。
- 日本においては、フランス料理は高級料理として知られているが、フランス国内には各地方特有の多様な郷土料理が存在している。
- 今日では、高価なレストランのみならず、手頃なビストロやブラッスリーといった店も見受けられる。
「フレンチ・フランス料理店」の開業のデメリット・リスク
イタリアンと競合しやすい
- 高級なフランス料理店の場合、参入障壁が高いことからも、開業エリア内での競争が激化しづらい。
- しかし、開業するのが比較的カジュアルなフレンチ店であれば、近隣のイタリアンレストランとの競争は避けられない。
平均単価が下落
- 日本のフランス料理の歴史は、1872年にオープンした「築地精養軒」から始まったとされる。それに続き、外国人を対象としたホテルが中心となり、フランス料理は高級料理として広まることになった。
- 昭和の中頃から独立開業したオーナーシェフが、住宅街でも店舗を構え始める。
1985年あたりからは、懐石調のフランス料理が流行し、数多のプチレストランや家庭的なフランス料理店が続々と誕生した。
これにより、多くの人々が気軽にフランス料理を堪能するようになった。 - だが最近では、法人による接待の機会が減少することで、いわゆる「高級フレンチ店」の業態では生き残りが難しくなった店舗もある。
- フレンチよりも割安なイタリア料理店が人気になった事により、フランス料理店もカジュアルな店舗が増え、低価格ながらも本格的な味を提供する店が増えている。
- 「俺のフレンチ」のようなチェーンも増えており、現状フランス料理店は高級店と手頃な店との二極化が進むことで、業界全体での平均単価は下落したと考えられる。
店でワインが飲まれなくなってきた
- 日本の外食費用に目を向けると、全体の変動は少ないが、外食費の比率は徐々に下がってきている。
- 外食時のアルコール代として、特にフランス料理と密接な関係にあるワインの費用を分析すると、日本におけるワイン自体の消費は堅調であるものの、外食におけるアルコール支出は減っている。
大規模な店が増加傾向にある
- 1店舗あたりの従業者数は増加傾向にあることから、小規模なフランス料理店の割合が減ってきており、やや規模の大きい店舗が増えて来たと考えられる。
- そのため、資本力で劣る小規模事業者は独自の価値筋を描けていない場合、厳しい戦いとなる。
フレンチ・フランス料理店の開業を「成功させる」ポイント
コンセプトを明確にする
- 高級ホテルや百貨店の閉店は相次ぎ、それに合わせ一時的なグルメのブームで急増した高級フランス料理店の数は減少していった。
- 近年ではフランス料理店でも、多くの店舗がカジュアルなイタリア料理やブラッスリー、ビストロへとコンセプトを修正することで業績を伸ばしている。
ビストロ
- カジュアルなダイニングのスタイルで、ワインと食事を気軽に楽しめる場所である。
ブラッスリー
- フランスではビアレストランとして愛されており「ビールも楽しめる大衆的な店舗」として気軽に利用される。
サロン・ド・テ
- 軽食やスイーツを提供する、カフェのようなコンセプトである。
オート・キュイジーヌ
- 高級レストランとして「ミシュラン」などの評価ガイドに取り上げられる。
- ランキングは「ミシュラン」の星の数によって示される。
FLコストが65%を超えないよう、厳しく経営管理をする
- 飲食業界における重要な基準の一つがFLコストである。これは食材費(Food)と労働費(Labor)を足し合わせ、売上に対する比率として算出される。
- 一般的に、FLコストは55〜65%とされるが、高級フレンチ店の場合は高くなりやすい。
65%を超えると、経営に問題が発生している場合が多い。 - フランス料理では高価な食材や、アルコール類を取り扱うため、過度な在庫はキャッシュフローに悪影響を及ぼすリスクがある。従って、在庫の最適化が必須である。
ターゲットに応じた独自メニューを作る
- 特に高級フレンチ店では、新技術よりも歴史や伝統を尊重する態度が見受けられる。
しかし、飲食業である以上、新しい料理やサービスの提供は不可欠である。 - そもそも本場のフランス料理となると、日本では馴染みがない人も多く、その独特な味わいが受け入れられずに敬遠されてしまう場合もある。
- 少子高齢化が進む中、中高年層は低カロリーで健康的な食事を求めている背景からも、日本人の口に合うテイストで、カロリーを抑えたメニュー開発が求められている。
- 和食との組み合わせや、地方の食材を使用したオリジナルのフランス料理を提供する店が増えており、多くの支持を受けている。
料理に合うワインを提案することで、単価とリピート率を上げる
- ワインの輸入に関しては、フランスが長い間トップであったものの、経済連携協定によって関税が下げられたことで、近年チリがその位置を奪取している。
- 「カベルネ・ソーヴィニヨン」というブドウは、フランス料理にマッチする事や、その独特の味わいによって評価を上げている。
- 店の料理と相性のいいワインをセットで提案することで、客との関係を深めることができ、単価を上げつつ、リピーターを増やすこともできる。
事業コンセプトに合わせて、回転率と平均単価を調整する
高級フレンチ店
- 一般的な高級フレンチでは、オードブル(前菜)、スープ、魚や肉の主菜、デザートとなっており、食事の進み具合などに応じて、ゆっくりとテーブルに出されるため、顧客の滞在時間は長めである。回転率は低いが、単価が高いため高収益にできる。
- 高級レストランでは、ランチが4,000~6,000円、ディナーが約2万円と他の業態に比べて高額である。
カジュアルフレンチ店
- 最近では手頃な価格のフランス料理店が増えており、その場合のメニューは、オードブル、スープ、主要な料理(魚または肉を選択)、デザートとなっている。
- カジュアルな店舗では、回転率を上げるためにも、ある程度まとまって短時間で料理が全て出されることも多い。ワンプレートで1度でまとめて料理が提供されることもある。
- 単価が低い一方で、回転率が高いため、利益が出る仕組みになっている。
- カジュアルな店舗や手頃な価格の店舗では、ランチが1,000~3,000円程度で、ディナーでも5,000~7,000円程度のところもある。
働きやすい魅力的な職場環境を作る
- 飲食業界の中でもフレンチ店では調理工程や接客等のサービスが非常に重要であることから、人員の確保が不可欠である。
- 新規での採用や育成にも当然力を入れるべきだが、特に採用後の従業員をいかに退職させず、育成するかが重要だ。
- 調理作業の効率向上と無駄の排除を図るために、オペレーションの改革やシフト制度の最適化が求められる。
- 併せて、従業員の福利厚生の充実や労働環境の改善は不可欠である。
最近では、低価格でさまざまな福利厚生サービスを受けられる法人向けサービスも豊富になってきている。 - 加えて、ブラックな労働環境やパワーハラスメントが存在していないか、経営陣が自ら実態を把握し、従業員との対話を重ねることが肝要である。
リースや中古機器を活用して、開業資金を低く抑える
- 事業の性質上、内装・外装などで節約をし過ぎると集客に悪影響が出るリスクがある。
しかし、厨房などで使う顧客から見えない部分の、主要な機器の購入は、リースや中古を選択することもできる。 - フランス料理店は高級志向の客層を持ちやすいことから、一般的な飲食店よりも事業を伸ばしやすい側面もある。
しかし高級店として打ち出し過ぎると、店舗の改修コストや、高品質な食器などの投資額がかかりやすい。
高品質な食材を仕入れる
- フランス料理店では、食材の品質が料理や単価に直結するため、市場で直接品質を確認しながら仕入れるか、食品卸業者を利用する。
- 多くの調味料やワイン、チーズは輸入されるため、大手卸業者を利用することが一般的である。
- 店舗数が少ない場合、現金払いが主流だが、月末の締め日に次の月または翌々月に支払うこともある。
競合の少ないエリアで開業する
- 一般的に、飲食店の多くは大都市に集中しており、フランス料理店もその例外ではない。
- かつ、フランス料理店は一般的な飲食店よりも参入障壁が高いことから、開業エリアの分析をしっかりと行えば、長期間競合が少ない状態で経営ができる。
SNSの活用など、IT投資を行う
- フランチャイズなどの大規模なチェーン店や、直営による多店舗経営の場合、POSシステムやITを用いた顧客データベースの構築がしっかりとされている。
- 一方、中小規模の事業者にとっては、IT関連の大きな投資は難易度が高い。
- しかし、飲食関連のウェブサイトへの掲載や、SEO、SNSを活用したITを活用した宣伝は低コストで行える。
- 特にフランス料理は、高級感や特別感がある料理であることからも、インスタグラムやブログなどとの相性がよく使いこなすことによって、新規集客やリピーターを作ることに成功している事例も多い。
キャッシュフローの管理を、高い精度で行う
- フランス料理店では、大部分の売上は現金ベースであるため、運転資金は日々の売上から賄うことができる。
- しかし、繁忙期に仕入れが大きく必要なタイミングや、ボーナスや税金支払いなどの要因で、現金が一気に使われることもあるため、日々キャッシュフローの管理は精度高く行う必要がある。
- また事業コンセプトによっては、定期的に高いブランドイメージの維持するためにも、店舗や設備への大きな投資が求められる。
- 設備が老朽化することで、店舗のリニューアル資金の必要が出てくることもある。
その際は事業進捗に応じて、コンセプト変更の方向性も模索するべきだ。
食材の安全性を訴求する
- 食品の産地詐称事件は、国内で注目を集め、これがきっかけとなり、消費者からは安全で信頼のおける食品のニーズが高まった。
- フランス料理の店舗も、食材の出所を明示し、安全をアピールすることが必須となっている。
フレンチ・フランス料理店の開業で「失敗してしまう」と儲からないポイント
ターゲットを法人の接待に絞ってしまう
- リーマンブラザーズの破綻以降、世界的な金融危機からの景気の回復が見られたが、パンデミックが起きたことも含め、法人の接待費は減少の一途をたどっている。
- グルメの隆盛を享受していた高級店も、消費者の節約志向の影響を受け、フランス料理店を含むディナー専門のレストランは売上や利用客数、客単価が安定しきれていない状態にある。
- そのため、法人の接待需要取り込みができるという確証がない起業家は、ターゲットを法人の接待に絞ってしまうことは避けるべきだ。
人員の確保と、育成がうまくいかない
- 最近は労働力の不足が問題となり、多くの店舗が営業時間を短縮するケースも増えている。
- 場合によっては顧客がいたとしても、廃業を余儀なくされている事業者も存在する。
- 華やかなイメージがあるフレンチであっても、他の業界と比較すると、従業員の平均年収は低めである。
- そのことから、キャリアアップを考える従業員も多く、常に一定数の従業員を採用する必要があるため、人材確保は難しい。
- 特に、フランス料理の場合、高度な技術を持った人材の確保と育成は、店の品質・平均単価に直接関係しており、大きな経営上の課題である。
継続的な改善を怠る
- フランス料理店は、業界としては既に成熟期にあることからも、持続的な成長を図るためには、ターゲット顧客の理解、そして「明確なコンセプト」「新しいメニューの導入」「サービスの強化」が不可欠である。
- 開業する店の立地などは、開業する前の段階で重要となる論点であるが、開業後にも継続的に投資を行わなくてはならない経営要素も大きい。
法人利用が多いと、一定の現金回収リスクがある
- 一般消費者向けの小さな店舗では主に現金取引となるため問題にならないが、接待を目的とした顧客が多いような店舗では、売掛金が増加する傾向がある。
- そのため、法人の接待利用が多い事業者の場合、キャッシュフローや、現金回収リスクとシビアに向き合う必要がある。
フレンチ・フランス料理店の開業に必要な「資格・免許・申請届出」は?
- 飲食店としての業務を行う以上、食品衛生法の下、保健所からの許可や指導を受けることは避けられない。
- 本記事の内容は調査時点のもので、独自調査による推測の情報を含んでおります。数値等の情報を含め保証されるものではありません。
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