目次
「イタリアンレストラン・イタリア料理店」の開業が儲かるメリット・ポイント
- イタリアンレストランとは、イタリア料理を提供する飲食店を指し、カジュアルなイタリアンレストラン・高級イタリア料理店・パスタ専門店などが主な業態である。
加えて、イタリア料理を主軸に据えたサイゼリヤのようなファミリーレストランのような業態も存在する。 - イタリアンの開業コンセプトは多いが、代表的なものを下記に記載する。
- トラットリア:家庭的な雰囲気で、店主と奥さんが運営する。気取らない家庭料理を提供する。
- オステリア:カウンターにすでに調理された料理が並ぶ、昔ながらの居酒屋風の店。
- バル:立ち食いも可能でカジュアルな業態。カフェやバー、惣菜、食材の販売など機能は店によって異なる。
- リストランテ(フルサービスレストラン):高級なイタリア料理店で、プロのウェイターによる行き届いたサービスを提供し、ドレスアップした客層が集まる。
- ターボラ・フレッダ:テイクアウトが中心の店。
- ビッツェリア:ピザ専門店で、石窯で焼かれる。
- ターボラ・カルダ:肉・魚料理やパスタなど、調理済みの料理を温め直して提供するファストフード感覚の店。
- タヴェルナ:深夜まで営業する居酒屋風の大衆食堂。
- ジェラテリア:アイスクリーム専門店。
- イタリア料理は、日本の日常的な食事として定着しており、特にチェーン店の拡大に伴い市場は安定的な成長を遂げている。
- イタリア料理は日本で短期間で広まり、現在では日本の食文化の一部として根付いている。
日本においては、欧米料理の中でも特に人気が高い料理カテゴリーと言える。
昭和60年代には消費者の支持を集め、「イタメシ」として流行し、1990年代後半にはブームを迎え、バブル経済の象徴ともなった。
現在はブームが落ち着き、日常的な食事の選択肢として定着している。
市場は安定的な成長を続けており、店舗数も年々増加している。 - 顧客の期待に応えるためには、メニューの充実、店舗の雰囲気、サービスの質向上などが重要である。
これを実現するために、食材の調達においては、安定した供給ルートの確保とコスト削減の両立が求められる。
加えて、店舗コンセプトの明確化と、顧客への訴求、季節ごとのメニューや食材の変更によるリピーターの獲得も重要である。 - イタリアは地形が長く、海産物や山の恵みに恵まれており、地域ごとの特産品を生かした郷土料理とワインがイタリアの豊かな食文化を形成した。
- イタリア料理が日本で日常食として定着した背景には、以下の要因が挙げられる。
- フランス料理と比べて高級感が少なく、気軽に手頃な価格で楽しむことができる。
- 日本人の口に合う食材や、パスタを主体とした料理が中心である。
- 健康志向の高まりの中で、オリーブオイルや有機野菜が評価されている。
- ワインやエスプレッソなどの飲料、さらにデザートが人気を集めている。
- 市場規模は、イタリア料理専門店に特化した統計はないが、総務省や経済産業省が実施した調査データを分析すると、事業所数や従業者数は増加している事がわかる。
事業所ごとの従業者数が増加している事から、小規模な店舗が閉店する一方で、大規模な店舗が増えていると考えられる。 - 主な大手チェーン店としては、「サイゼリヤ」、「La Pausa」、「馬車道」、「イタリアントマト」などがあり、中でも「サイゼリヤ」は約1,500店舗を超える規模で展開しており、さらに店舗数を増やしている。
- 総務省の調査によると、全世帯の洋食費の割合は近年減少している。しかし、あくまでもこれはマクロデータであり、イタリアンに特化した情報ではないため、起業家にとっては開業エリアに特化した情報の取得が重要だ。
- イタリア料理は日本全国で普及しており、北海道から沖縄に至るまで、大手チェーン店の「サイゼリヤ」や「イタリアントマト」などが全国的に展開されている。これにより、地域的な偏りはほとんど見られない状況である。
- パスタやピザはイタリア料理の中でも特に人気があり、顧客ニーズが安定している。
そのため、パスタ・ピザの専門レストランも多く出店されている。
健康志向に対応した有機野菜の使用や価格面での工夫、時間帯ごとのサービス展開などにより顧客満足度を高め、成長が見込まれる。 - イタリアンレストランでは、技術革新と効率化によって、経営の改善余地が大きく残されている。
本格的な料理体験を提供するために、新しい窯やガス設備の導入が進行中である。
一方で、効率的な運営を実現するための大規模システムキッチンの導入も行われている。 - 店舗コンセプトにもよるが、個人店や高級イタリアンレストランでは、ピザやパスタの生地については、メーカーのレシピに基づいて、粉や生地玉からの手作業による製造が多い。
ファストフードでは提供スピードが重視され、冷凍パスタが使用される場合が多い。
しかし、パスタ専門店では、品質を考慮して乾パスタや生パスタを使用することが一般的で、品質を保ちつつ提供時間を短縮することが求められている。 - 従業員の定着を促すためには、パワーハラスメントや過重労働の問題がないか経営者自身が現場を訪れ、従業員とのコミュニケーションを図ることが重要である。
- 多くの大手チェーンは、顧客ロイヤルティの向上のためにポイントカードや会員カードを導入し、特典を提供している。
- 業務の効率化や迅速化だけでなく、最適な品揃え、業務の繁閑に合わせた適切な従業員配置、顧客管理など、ITツールを総合的に活用することが重要である。
- インターネットプロモーションやSNSを利用した情報発信は、比較的低コストで効果的な手段であり、多くの店舗で実施されている。
特に、Instagramやブログなどでイタリア料理の非日常感や高級感を演出するコンテンツの掲載が盛んである。 - イタリア料理店は、高級なリストランテからカジュアルなトラットリア、イタリア風居酒屋であるバルまで、様々な形態をとっている。これらは客層や目的に応じて使い分けられている。
- パスタやピザを専門とする店舗は、若者層に特に人気があり、店のコンセプトは気軽さや食の楽しみを重視していることが多い。
- 高級店は有名シェフを採用しており、コースメニューを提供するが、一般的な専門店はリーズナブルな価格設定が多い。低単価店舗では、ランチやディナーのセットメニューが客単価の向上に貢献している。
- 大手フランチャイズ店ではセントラルキッチンで一次加工を行うこともあるが、個人経営店では店内での調理が一般的である。個人店の料理サービスは、属人的かつ労働集約型の特徴を持っている。
- イタリア料理店の仕入れは、輸入商社、食材問屋、卸売市場内の仲介業者、または小売店から食材を仕入れるケースが多い。
- クリスマス、夏休み、ゴールデンウィークなどを除いて、イタリア料理店の季節による需要の変動は少ない。
- 顧客からの支払いの大半は現金決済で行われるが、ワインなどの在庫品に関しては、一部手形支払いを行うこともある。
- 設備投資に関しては、手形支払いで行われることも多く、機械器具や備品に関しては、リース方式を利用することも多い。
- イタリアンレストランでは、コンセプトに関わらず、概ね下記のメニューが出される。
- イニッツイオ:突出し。
- アンティバスタ:前菜(生ハムやパテ、魚介サラダなど)。
- コントルノ:付け合せ(野菜、サラダなど)。
- プリモピアット:第1の皿(パスタやリゾット、スープなど)。
- セコンドピアット:第2の皿、メイン料理(ペッシェ=魚、カルネ=肉)。
- フォルマッジョ:チーズ(主にナチュラルチーズ)。
- アペリティーヴォ:食前酒。
- デイジェスティーヴォ:食後酒。
- ドルチェ:デザート・お菓子(アイスクリーム、プリン、ティラミスなど)。
- 大手チェーン「サイゼリヤ」は、新業態の「イートラン」「サイゼリヤEXPRESS」を展開し、中国、香港、台湾、ラオスなどで200店以上を展開している。コスト削減と低価格戦略により、海外事業は同社の営業利益の約30%を占めている。
「イタリアントマト」も中国、香港、台湾、ラオスなどで展開しており、海外市場への進出を図っている。 - イタリアンレストランでは、カジュアルな店舗が多く、急激な客単価の上昇は難しいが、高級素材のメニューやコース料理の開発で差別化を図ることで、上げることができる。
- 定期的な、オペレーションの見直しやIT投資による経費削減が求められている。
- イタリア料理業界は高級店からパスタやピザをメインにした店舗など、コンセプトが多いことからも、フランチャイズ店も多く、加盟することで、短期で成果を出すこともできる。
- 軽食を楽しみながら飲むバルや、近隣店舗を巻き込んだバル街、バルフェスなども行われており、これらを利用することで集客と売上向上に繋げることもできる。
- メニューの華やかさからも、SNSを利用した低コストで効果的な情報発信と相性が良い。
「イタリアンレストラン・イタリア料理店」の開業デメリット。失敗すると儲からないポイント
- 高級イタリア料理店は、生産者との協力関係を築き、独自の食材調達やワインの品揃えにこだわることで、個性を打ち出しており、この付加価値の高さによって、高い料金を顧客から受け取れる。
しかし、法人接待の減少や節約志向の影響を受け、高級店からカジュアルな業態への転換を進める動きも見られる。 - 近年、飲食業界全体で深刻化している人手不足の問題に対処するため、オペレーションの見直しによる作業の効率化や無駄のないシフトの組み方が必要とされている。
- 大手イタリアンチェーンでは、POSシステムを活用してオーダー入力、厨房への作業指示、レジ精算、食材発注などに利用することで、業務効率化をしている。
一方で、多くの小規模事業者では、POSシステムの利用がまだ一般的ではない。 - 低価格競争と激しい競合の中で客単価を上げるのは困難であり、売上を増やすためには客席回転率を高めることが重要となる。
- 過去の来客データと在庫状況を分析し、必要な量を適切に仕入れることも重要だ。
通常、商品在庫はワインなどを少量に留め、材料在庫も数日分程度に抑える必要がある。 - レジスターで把握できるメニュー別の売上や時間帯別の客数の分析を行い、メニュー開発やマーケティング戦略の計画に反映させることが重要である。
- イタリア料理店では、主に現金商売であるが、カードでの支払いも行われるため、普段は資金調達が必要ない場合が多い。
しかし、下記の理由から、資金調達が必要な場合がある。- 仕入れの際の、材料や酒類の支払いにも現金決済が多い。
- 材料や酒類のまとめ買いをする際は、まとまった資金が必要となる。
- 賞与資金や納税資金などの支払いが、一気にやってくるタイミングがある。
- 食材費(Food)と人件費(Labor)の合計を売上高で割った、いわゆるFLコストを管理することが重要である。標準的なFLコストは55~65%とされており、65%を超えると経営上の問題があると考えられる。
「イタリアンレストラン・イタリア料理店」の開業に必要な「準備・手順・流れ」
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本記事の読み込み
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開業するイタリアンレストランのコンセプト決定
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メニューの決定
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出店エリア調査
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物件の探索
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資金調達
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物件取得
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店舗の内装・外装の決定
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内装工事・外装工事
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従業員の募集と採用
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開業前研修
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保健所への申請
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開業
「イタリアンレストラン・イタリア料理店」の開業に、必要な初期費用・開業資金
- イタリア料理店を新規で開業する際に、不動産を購入する場合、開業資金は多額になり、借入金で賄う際は事業計画や立地などが求められる。一般的には店舗物件は購入ではなく借りる形式で進められる。
- 下記に20坪の店舗における、実際に新規開業にかかった開業資金の事例を紹介する。
- 開業する際の初期費用としては、物件取得費、店舗設備、機械設備、運転資金などが必要となる。
- 初期投資のコストを抑えるために、居抜き物件の利用が積極的に行われている。
ただし、居抜き物件の場合は設備の状態や電気・ガス容量などを確認する必要がある。
物件取得時の保証金・礼金 | ¥2,550,000 |
不動産仲介手数料 | ¥433,500 |
その他物件取得費用 | ¥383,500 |
内装工事・外装工事 | ¥4,640,000 |
デザイン費用 | ¥330,000 |
厨房等の設備費用 | ¥4,125,000 |
看板工事費用 | ¥460,000 |
家具 | ¥470,000 |
什器 | ¥360,000 |
レジ | ¥180,000 |
制服 | ¥120,000 |
求人広告費 | ¥320,000 |
研修時人件費 | ¥430,000 |
開業前賃料 | ¥410,000 |
広告宣伝費 | ¥380,000 |
仕入れ | ¥327,000 |
その他費用 | ¥250,000 |
合計 | ¥16,169,000 |
「イタリアンレストラン・イタリア料理店」の開業に必要な「資格・免許・申請届出・関連法」は?
- 食品衛生法
イタリアンは、飲食店である以上は食品衛生法に基づき、所轄保健所から営業許可を得る必要がある。
- 本記事の内容は調査時点のもので、独自調査による推測の情報を含んでおります。数値等の情報を含め保証されるものではありません。
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